4キャリアが能登半島地震のエリア復旧状況を説明 “本格復旧“を困難にしている要因とは(2/3 ページ)
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4社が合同で、能登半島地震のエリア復旧状況について説明した。道路が寸断して通れない、基地局へ向かえないことで復旧が難航している。船上基地局や衛星通信なども活用しているが、本格復旧のめどは立っていない。
KDDIはStarlinkアンテナも活用して復旧
KDDIは、進入困難カ所を除き、1月15日に応急復旧(UQ WiMAXについても1月16日に応急復旧)したが、「発災後は道路の通行制限や車両の集中による交通渋滞が発生して、金沢市内から被災現場への到着に通常の約3倍の時間を要した」(KDDI山本氏)と苦労を語った。
復旧要員に加え、その統制や避難所支援などで1日に最大500人体制で臨んだ。応急復旧には、移動基地局の他にStarlinkも活用。土砂災害などで通信ケーブルが切断されて停止した基地局の通信ケーブルの代替として、Starlinkアンテナを基地局に接続することで通信を復旧させた。
Starlinkは低軌道衛星なので遅延が少なく、高いスループットが出る。また、衛星の捕捉も短時間でできることから、復旧活動に非常に有効だったという。「これまでの災害と比べて通信ケーブルの切断が非常に多く、山中を移動することもあったが、小型で軽量なStarlinkアンテナの活用は、早期の応急復旧に非常に有効な手段となった」(山本氏)
スループットが高いことはユーザーにとってもメリット。山本氏は「ほとんど元のエリア、元の品質を保った状態で復旧することができたと思っている」と語った。StarlinkはWi-Fiとして避難所や災害派遣医療チームDMATでも活用。スループットが高いので、映像の送信や医療用データの共有も可能で、避難所として使われている学校では、オンライン授業でも利用されたという。
さらに、避難所支援では従来の取り組みに加え、スターリンクジャパンと協力してStarlinkを利用したフリーWi-Fiの提供を初めて実施。Starlinkを避難所へ350台、災害対応機関に200台提供している。
応急復旧でも通信品質にこだわるソフトバンク
ソフトバンクは全国からのべ5800人体制で復旧活動を実施している。可搬型機材を既存局に設置し、復旧させることで、今まで通りのエリアに復旧させることを目指している。通信品質にもこだわり、避難所がエリアの端になって品質が安定しない場合は、近隣の基地局を優先して復旧させている。
可搬型機器の迅速な展開、稼働状況を把握するためにスマホのアプリを活用。管理ツールと連動させ、作業員の移動状況、作業状況とともに、可搬型機器の稼働状況もリアルタイムに把握し、復旧を促進しているという。
ソフトバンクの関和氏は、可搬型機器を稼働させる上で給油が非常に重要と語る。給油をタイムリーかつ効率的に行うために、給油ポイントとなるベースキャンプも復旧の進展とともに移動させ、最終的には能登半島北部に2箇所設置した。
「この箇所は、復旧における給油も困難な地区。これらの地区で他事業者様から依頼がある場合には積極的に給油を援助してきた」(ソフトバンク 関和氏)
15日に、輪島市、珠洲市の一部エリアなど進入困難箇所を除き、LTE、3Gともおおむね復旧。3Gについては、2024年1月31日としていたサービス終了日を4月15日に延期している。
「3G端末のみをお使いのお客さまは、被災地にも、また、避難後の各地にもいらっしゃると思っている。お客さまが引き続き3Gサービスによって生活を支えられるように、全国で3Gサービスを延長するという判断をした」(関和氏)
避難所では、Wi-Fiスポットの無料開放、充電ポイントの提供、Starlinkによる公共機関の通信の確保の他、ソフトバンクと資本・業務提携しているWOTA社の水循環システムを展開している。シャワー、手洗いなどのシステムを提供することで、「被災者の方に非常に喜んでいただいている」(関和氏)そうだ。
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