法令改正で攻めの一手に出るmineo 「長期利用特典」「端末値引き」の狙いを聞く:MVNOに聞く(2/3 ページ)
オプテージがmineoで「ファン∞とく」をアップデートする。長期利用特典を復活させたが、囲い込みをするのが狙いではなく、一人一人がニーズに合わせて特典を選べるようにするのが狙い。通信品質「5倍改善」の中身や、端末値引きについても聞いた。
通信品質を「5倍」に改善 速度不満による解約は減っている
―― この特典やキャンペーンと合わせて、通信品質を「5倍」に改善する発表もしました。これはもう適用されているのでしょうか。
田村氏 あくまで独自基準での5倍ですが、既になっています。改善は、(23年)8月ごろから徐々にしています。これがけっこう難しく、どれだけ増強すればいいかは、試行錯誤しながらやってきましたが、ようやく自信を持って言えるタイミングになりました。
―― 3キャリア分、全て同じように改善したという理解でよろしいでしょうか。
田村氏 はい。3キャリアとも同じ品質になるようにしていますし、過去からずっとキャリアごとに差はつけていません。といっても、実際にはどうしても差は出てしまいますが、設計基準としては同じにしています。
―― 改善というとやや曖昧ですが、端的に言うと、借りている帯域を増強したということでしょうか。
田村氏 そうですね(苦笑)。帯域の買い足し方の基準も見直しています。やっている手法は地味ですが、得られる効果は大きく、今まで使いにくかった時間帯もある程度快適に使えるようになっています。実際、周りからも快適になったという声は直接聞いています。
―― お昼休みの時間にYouTubeなどの動画もスムーズに再生できていますが、ここまで帯域を増やしてコストは大丈夫なのでしょうか。
田村氏 接続料単価の減少もありますが、それだけではなく、事業努力もしています。平日のお昼に通信量を減らした代わりに特典を付与する「ゆずるね。」や、夜間だけ使い放題になる「夜間フリー」、速度を抑えた「マイそく」や、節約時に1.5Mbpsで使い放題になる「パケット放題Plus」など、他社とは違ったトラフィックの平準化にも取り組んでいます。そういったこともあり、今回の増強ができました。
―― 5倍というのは、通信速度ではないのでしょうか。
田村氏 非常に言い方が難しいのですが、品質としています。大半は速度ですが、遅延などのパラメーターも含まれています。
―― 逆に、それ以前は不満の声があったのでしょうか。
田村氏 混んでいる時間に対する不満の声はありました。実際に品質改善をしていった結果、速度不満による解約は順調に減っています。ユーザーの声もそうですし、第三者機関の評価もよくなっているので、事業目線での効果も出ています。「MVNOは遅い」というイメージを払拭(ふっしょく)できればと考えています。
―― 今回、品質改善をアピールしているのは、それが理由で解約したユーザーにも戻ってきてほしいという狙いがあるのでしょうか。
田村氏 そうですね。そういった意味でも、過去からの比較として説明しています。実際にお試しいただき、最後はずっとmineoがいいと思っていただければいいですね。
―― mineoがどうというわけではありませんが、ドコモ回線のパケ詰まりが話題になっています。いくらmineo側で品質を改善しても、無線部分が混んでいたら速度は出ませんが、この影響は受けているのでしょうか。
田村氏 断言はできませんが、品質の影響は受けます。少なからずあるんじゃないかといえるのは、帯域設計をしている中で他社(KDDIやソフトバンク)と違う動きがあるからです。
「マイピタ」で全プラン990円×6カ月のキャンペーン 20GBを推す
―― 次にキャンペーンについてうかがいます。今回は、「マイピタ」が容量に関わらず990円になりますが、こうなると皆さん、20GBプランを選択するのではないでしょうか。
田村氏 はい。メッセージとしてお勧めしたいのが20GBです。ただし、そんなにいらないという人は、(キャンペーン期間終了後に)コース変更の手続きが発生します。そんなに使わないのに手続きが面倒という方は、他のコースに入るかもしれません。
―― これは、20GBコースを広げていきたいという狙いがあるのでしょうか。
田村氏 使われる容量はどんどん増えているのが実態ですし、20GBは他社のオンラインプランやサブブランドでも標準的というか、1つの基準になっています。そこと比較していく上でも、20GBで990円はいいのではないかと思っています。mineoで契約者が多いのは1GBや5GBですが、10GB、20GBもサービスラインアップの中では魅力的なので、利用の変化とともに増えています。10GB、20GBはパケット放題Plusが無料でついていることもあり、事業者として入っていただきたい思いもあります。事業的な観点では、売り上げやARPU(1ユーザーあたりの平均収入)を押し上げる効果もあります。
―― 6カ月限定ですが、990円ならオンライン専用プラン/ブランドと比べてもかなり安いですね。
田村氏 同じ期間、パスケットの無料キャンペーンもやっています。これはあまり言っていないのですが、20GBコースに入っていただいて、使わなかった分をパスケットにためておくこともできます。キャンペーン終了後に1GBコースに変更しても、パスケットを継続して契約していればけっこうおいしいという……。
―― なるほど。仮に月10GB使って残り10GBをためていったとしたら、6カ月で60GBになるので、以降を1298円の1GBコースに変えても、そこから毎月10GB使っても6カ月間持つ計算になります。キャンペーンの延長みたいに使えるわけですね。
田村氏 はい。低容量でいい方には、そういった使い方もできます。「高容量の人だけがお得やん」と言われてしまうかもしれませんが、実はそうではないんです。パスケットと組み合わせることで、うまくご活用いただけるのではないでしょうか。
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