Amazonの「送料無料」条件が2000円から3500円に 背景にある“2024年問題”
Amazonが、2024年3月29日から通常配送が無料になる基準を2000円から3500円に引き上げます。今回の配送無料基準の引き上げは、ヘルプページの更新という形で行われています。いわゆる「2024年問題」を見据えてのことと考えられます。
Amazonが、2024年3月29日から通常配送が無料になる基準を2000円から3500円に引き上げます。現在は1回の注文金額が2000円以上であれば、通常配送料が無料となっていましたが、3月29日以降は3500円以上の注文金額が必要となります。
Amazonは2010年から全ての商品の通常配送料を無料としていましたが、2012年末には一部の低価格商品については注文の合計金額が2500円以上でないと購入できない「あわせ買いプログラム」を導入。2016年には通常配送無料を終了し、注文金額が2000円未満の場合には配送料がかかるようになっていました。
なお、3月29日以降、3500円以上の注文でもお急ぎ便やお届け日時指定便など通常配送以外は別途配送料がかかります。Amazonプライム会員、Prime Student会員は、配送オプションにかかわらず配送料は無料です。
今回の配送無料基準の引き上げは、ヘルプページの更新という形で行われているため、Amazonから具体的な理由などの発表はないのですが、2024年4月に迫っているドライバーの時間外労働などの規制を強化する、いわゆる「2024年問題」を見据えてのことと考えられます。
2024年4月1日に改正労働基準法が施行され、運送業や建設業では時間外労働時間に上限規制が行われます。また、トラックドライバーの拘束時間が、現状の1日最大16時間以内から最大15時間以内(14時間超は週2回までが目安)に制限。これらにより、2024年4月以降、トラックドライバーの人手不足や物流コストの上昇が懸念されています。
当然ながら、以前からAmazonも対応を進めており、2019年には個人事業主のドライバーを活用した自社配送サービス「Amazon FLEX」を開始。また、2022年には地域の中小企業に配達を委託する「Amazon Hub デリバリーパートナープログラム」を発表しています。
地域に根付いた企業が空き時間を利用し、店舗や事務所から最長でも2Km圏内の配達を担うというもので、Amazonは配送の委託先を増やせ、パートナーも空き時間での収入を増やせるというWin-Winのプログラムではあります。
こうしたAmazonの配送は、SNSへの投稿を見る限りあまり評判がいいものではなさそうですが、これは地域差も大きそう。筆者もAmazonで頻繁に買い物をしており、大手以外の配送業者による配達も行われていますが、いまのところ置配や対面を含め、問題を感じたことはありません。
なお、Amazonの配送に関しては、2013年に佐川急便が撤退。2017年には人手不足などを理由にヤマト運輸がAmazonの当日配送から撤退しています。Amazonの自社配送への切り替えは、こうした問題に対応する狙いもありました。
話を戻して、今回の無料配送基準の引き上げですが、先にも書いた通り配送コストの上昇を見越したものなのは間違いないはず。ただ、プライム会員の配送無料は続けており、プライム加入を促したい思惑もありそうです。ただ、近年はプライムデーやブラックフライデーなどの大型セール時には、配送に時間がかかるということもしばしば発生しています。
日本でのプライム会員費は2023年8月に月額600円、年額5900円に値上げされていますが、配送コストの上昇を理由に近いうちにさらなる値上げを行う可能性もありそうです。
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