シンプルで分かりやすい楽天モバイルの「最強青春プログラム」 ただし“お得感”では疑問も:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
楽天モバイルが、0歳から22歳までのユーザーに毎月110円分の楽天ポイントを還元する「最強青春プログラム」を3月12日から提供する。同社は2月に「最強家族プログラム」を開始したばかりだが、これと最強青春プログラムは併用が可能。割引額としては小さいが、楽天モバイルの狙いはユーザーの「選択肢に挙がること」にあるという。
プログラムの狙いは「選択肢に挙がること」、お得感の演出が重要か
こうした見方を、楽天モバイルのマーケティング企画本部長 中村礼博氏は「無制限の領域だと他社より圧倒的に安い」と否定する。もともと、データ容量無制限で3278円の楽天モバイルは、他社と比べると圧倒的に安い。最強青春プログラムと最強家族プログラムを合わせると、その実質価格は3058円まで下がる。総額が安い中、最強青春プログラムを打ち出したのは、「若者を応援しようというコンセプト」があったからだという。
一方で、割引がないことで、楽天モバイルそのものが選択の俎上(そじょう)に乗らない課題があったという。これは、最強家族プログラムも同じだ。中村氏は、「学割がないことや、ファミ割(家族割)がないことで楽天モバイルが選択肢に入らないケースがいくつかあるという声をいただいていた」と語る。
実際、他社は若年層向けの料金プランや割引、ポイント還元を打ち出しているため、家電量販店の店頭などでも表にして比較がしやすい。先に挙げたドコモのU15はじめてスマホプランのように、データ容量は少ない一方で、金額水準を楽天モバイル以下に設定しているキャリアも多い。そのため、表で比較すると、割引やポイント還元のない楽天モバイルがお得に見えない課題があった。専用の施策がないことで、比較表から割愛されてしまう恐れもある。
これは、最強家族プログラム導入時に、楽天グループの代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏も語っていたことだ。同氏は、楽天モバイルの契約者獲得に向け、自身で積極的に営業をかけた際に、「よく家族プラン(家族割)はないのと言われた」とコメントしている。重要なのはいくら割り引くかではなく、割引自体の有無だったというわけだ。
最強家族プログラムや最強青春プログラムを導入することで、「そこに参入し、さらに安くして勝負に出ようとした」(中村氏)というのが、楽天モバイルの狙いといえる。実際、先行して導入していた最強家族プログラムは実数こそ非公開だが、好評を博しているという。最強青春プログラムの契約獲得効果を問われた中村氏も、「勝算ありと見ている」と語る。
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