UQ mobileとpovoで“ahamo対抗”を打ち出すKDDI ネットワーク品質強化が差別化の武器に:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
KDDIは、英調査会社Opensignalの実施した通信品質調査で、過去最多となる13部門で首位を獲得した。さらに快適なネットワークをより生かせるよう、UQ mobileとpovoで新たなプランやトッピングを提供する。料金プランを技術的なバックボーンとして支えているのが、ここまで解説してきた通信品質の改善というわけだ。
ネットワークの進化に合わせた料金改定、ahamo対抗の意味合いも
このネットワーク品質向上に合わせ、KDDIは一部ブランドの料金プランも改定する。ネットワークと料金は一見すると、関連性が薄いように思えるかもしれないが、実際には、両者の関係は深い。キャパシティーが十分ないところに安価な無制限プランを入れればトラフィックが増え、ネットワーク品質のバランスが落ちてしまうからだ。実際、キャリア各社がデータ容量に制限のない料金プランを導入したのも、4Gのキャパシティーが十分広がり、5G導入が見えていたタイミングだ。
古くは「CDMA2000 1x EV-DO」に合わせてフィーチャーフォン向けのパケット定額サービスを初めて導入し、他社を出し抜いたように、KDDIは比較的ネットワークと料金プランのバランスの取り方がうまい印象もある。とはいえ、auには既にデータ容量無制限の料金プランを導入済みで、最大容量はこれ以上増やせない。そこで手を入れてきたのが、UQ mobileとpovo2.0の中容量プランだ。KDDIのパーソナル事業本部 マーケティング本部 副本部長の渡邊和也氏は、「全てのデータ通信サービスのベースになる『つながる体感No.1』を、充実した料金ラインアップでたっぷりお楽しみいただきたい」と語る。
まず、UQ mobileはahamo対抗として導入したコミコミプランを廃し、新料金プランとしてコミコミプラン+を11月に開始する。データ容量は、これまでの20GBから1.5倍増量した30GBに設定されているが、料金は据え置きだ。さらに、特典として3GBを付与し、合計で33GBを3278円で利用できるようになる。既存ユーザーは料金プラン変更しなければならない点には注意が必要だが、中容量プランとしての魅力は高まったといえそうだ。
また、povo2.0には有効期間が1年と長い「360GB(365日間)」トッピングを導入する。こちらも1カ月にならすと30GBだが、料金は年2万6400円、1カ月2200円とUQ mobileを下回る安さだ。また、新たに1年間のトッピングを購入した際にau PAY残高に10%の還元を受けられる「1年間トッピングデビュー割」も導入した。このキャッシュバックは、360GBトッピング以外の1年間トッピングにも適用される。新設の「360GB(365日)」から還元されるau PAY残高を引いた実質的な料金は、月額換算で1980円まで下がる。
もっとも、こうした料金プランはKDDIが先手を打ったというわけではなく、10月にデータ容量を30GBに上げたahamoへの対抗措置という意味合いも強い。渡邊氏も、「ミニプラン(小容量)系は固まってきているが、真ん中の容量(中容量)がせめぎ合いになっている」としながら、「その競争の中での取り組み」と話す。UQ mobileのコミコミプラン+はahamoよりやや高いものの、音声通話定額が10分と長かったり、データ容量が特典で3GB多くなっていたりと、差別化も図っている。
こうした料金プランを技術的なバックボーンとして支えているのが、ここまで解説してきた通信品質の改善というわけだ。いくらデータ容量が多くても、パケ詰まりが頻発するようではそれを使い切ることができない。渡邊氏が「ahamoや楽天モバイルを意識した料金プランをご提供し、高品質ネットワークをしっかりご体感いただくことにつなげたい」と話していたのも、そのためだ。金額には表れないが、この快適さこそが料金プランの差別化になる。後出しジャンケンながら、ネットワークと料金の歯車がしっかりかみ合った新料金プランは訴求力が高そうだ。
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