「iPad mini(A17 Pro)」レビュー:M1搭載iPad Pro並みの性能、スマホ感覚のサイズ感も魅力 難点はコスト?(2/3 ページ)
10月に突如発表された「iPad mini(A17 Pro)」を先行レビュー。デザインは前モデルを完全踏襲しており、スマホに近い軽さで持ち運びやすい。Apple Pencil Proに対応したのはうれしいが、コストアップが難点か。
A17 Proのパフォーマンスは? M1搭載のiPad Proにも匹敵
A17 Proを採用したことで、パフォーマンスは上がっている。価格が安いためか、廉価版と思われがちなiPad miniだが、実は性能もiPad Airに匹敵する高さで、コストを重視した無印のiPadとは一線を画している。動作はスムーズで、Adobeの「Lightroom」のような比較的重めのアプリもそのまま動くのは性能が高いことのメリットだ。
ベンチマークで測った性能は次の通り。ベンチマークアプリには「Geekbench 6」を使用した。まず、CPUはシングルコアのスコアが2844、マルチコアのスコアが6999を記録した。5月に掲載したiPad Pro(M4)のレビューと数値を比較してみると、本機はiPad miniながら、シングルコアのスコアではM1を搭載した11型iPad Pro(第3世代)を上回っていることが分かる。
同じA17 Proを採用しているため、スコアはiPhone 15 Pro/15 Pro Maxと非常に近い。約1年前に掲載したiPhone 15 Pro Maxのレビューを見ると、シングルコアスコアが2953、マルチコアスコアが7393になっており、iPad mini(A17 Pro)と数値が近似している。ただし、マルチコアスコアについては400点弱の差分がある。
iPhone 15 Pro Maxとの比較では、GPUスコアにより大きな違いが出た。iPad miniのGPUスコアは2万6045。これに対し、iPhone 15 Pro Maxは2万7251と高い数値を出していた。2機種の差は、GPUのコア数の違いに起因するとみられる。同じA17 Proでも、iPhone 15 Proシリーズ用のそれはGPUが6コアなのに対し、iPad mini(A17 Pro)のものは5コアと1コア少ない。ただし、筆者が想像していたよりも1コアの差が少ないのも事実。ゲームなどでもiPhone 15 Proシリーズとの大きな違いは出ないだろう。
ちなみに、Geekbench 6の情報を見ると、iPad mini(A17 Pro)は8GBのメモリを搭載していることが分かる。前世代にあたるiPad mini(第6世代)は4GBと当時のiPhoneよりもメモリが少なかったが、本機では一気に2倍に増量された格好だ。恐らくこれは、Apple Intelligenceに対応するためとみられる。Apple Intelligenceは、最低要件のプロセッサがA17 Proになっており、快適に動かすため、メモリも多く必要とされる。
これを満たすiPhone 15 Proシリーズはメモリが8GBなのに対し、Apple Intelligenceに非対応となった無印のiPhone 15/15 Plusはメモリが6GBと少ない。無印のiPhoneは、iPhone 16シリーズでApple Intelligenceに対応するため、メモリがProモデルと同じ8GBに増量されている。Apple自身は多くを語っていないが、iPad mini(A17 Pro)も、この条件に沿って8GBメモリを搭載することになったことがす推察できる。
もっとも、現時点ではApple Intelligenceは利用ができない。レビューのために試用したiPad mini(A17 Pro)もOSのバージョンはiPadOS 18.0で、言語を英語、地域をアメリカに変えてもApple Intelligenceは現れなかった。さらに、日本語での提供は2025年になり、細かな時期も明かされていない。そのため、このスペックをフルに生かせるのはもう少し先になる。
とはいえ、メモリ容量そのものの増加はアプリ起動時の快適さにもつながるため歓迎できる。Apple Intelligenceのための性能底上げが、他の場面でも効いてくるというわけだ。映像、画像の編集などにiPad mini(A17 Pro)を利用する人にとっては、特にうれしい改善といえる。
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