「auマネ活プラン+」が好調のKDDI、UQ mobile/povoも回復に貢献 高橋社長から最後のメッセージも(1/2 ページ)
KDDIは2月5日、2025年3月期第3四半期の決算を発表した。「auマネ活プラン+」やUQ mobile、povoの新たな施策も好調で、通信事業は上昇基調となった。5G Sub6の基地局全局が5G SAに対応し、Starlinkとの直接通信も今春開始する予定だ。
KDDIは2月5日、2025年3月期第3四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比2.3%増の4兆3641億9500万円、営業利益は同2.0%増の8645億6600万円で増収増益。四半期利益は同1.7%減の5365億3100万円だったが、前期の子会社・関連会社の組織再編に関わる一過性影響などがあったためで、それを除けば同0.6%増になったという。
4月1日に代表取締役社長CEOを退任して代表取締役会長へ異動することが決まり、最後の決算説明会となった高橋誠氏は、「通期予想に対して順調に進捗(しんちょく)」と話した。
通信のモメンタムは回復 UQ mobileやpovoも勢いをけん引
営業利益の増減要因としては、マルチブランド通信ARPU収入が35億円、金融エネルギー事業が126億円、DX事業が123億円、そしてローソンが好調で182億円とそれぞれ増加。それに対してグループMVNO収入や楽天ローミング収入が122億円のマイナスとなり、その他の減収要因を加えて、169億円の増加となった。
主力のパーソナル事業は、通信・付加価値ARPU収入を合計した総合ARPU収入が1兆4882億円となり、通信ARPU収入は35億円、付加価値ARPU収入は279億円の増加。通信ARPU収入は第4四半期にトータルで増収となる見込み。
スマートフォンの稼働数は3270万契約となり、順調に拡大。全体での解約率は「競争激化で流動が活発化した」(高橋氏)ことで、マルチブランドでは1.30%と上昇したが、auブランドは低水準を維持したという。
料金プランで新たな施策を投入したこともあり、2024年11月以降、契約は上昇基調となった。auブランドでauマネ活プラン+を投入した狙いについて高橋氏は「使い放題利用の比率増加と付加価値ARPU向上を狙った」と話す。金融連携によって、auフィナンシャルグループの顧客基盤を拡大して、グループの成長を加速させたい考えだ。
UQ mobileはコミコミプラン+などの新プランを提供し、競争力のあるプランとした。povoも30日間30GBでは業界最安というトッピングを用意した。これらによってマルチブランドでは11月から純増数がプラスに転じた。
総合ARPUは5340円で上昇基調にあり、特にauじぶん銀行、au PAYといった金融・決済サービスが15.6%増となって好調。UQ mobileからauへの移行も1.5倍に拡大しており、ARPU増に貢献した。
auマネ活プラン+が好調で金融・決済サービスとのシナジーを発揮。同プラン利用者は、au PAYゴールドカードの保有比率は6.4倍に、au PAY決済単価は1.2倍に、auじぶん銀行預金残高は1.4倍と、顧客基盤拡大につながった。
5G Sub6の基地局全局が5G SAに対応、Starlinkとの直接通信も今春開始へ
2024年10月にスタートした「Pontaパス」では、ローソンの特典を強化した。新規獲得数が前四半期から約20%増加し、他キャリアのユーザーの獲得も増えるなど順調。ローソン店舗でpovoのデータ容量が獲得できるpovo Data Oasisは、11月のスタート以来、延べ10万人が利用し、9割超のローソンで利用されているとのことで、高橋氏は順調な利用だと話す。3月までにローソン全店でeSIMの販売も開始する予定だ。
こうした取り組みによって、ローソンの平均日販は対前年比で3.4%増、Pontaパスからの送客数は約2倍になるなど、成長に貢献しているという。
通信品質の取り組みでは、国内最大という5G Sub6の基地局全局で5G SAの提供を2024年11月末に開始。対応端末とプランであれば、さらに快適な通信の利用が可能になった。さらに衛星通信のStarlinkとの直接通信の開始に向けて、商用免許の認可を取得。今春からサービスを提供する。対応機種も拡大し、開始時には「200万人規模へのサービス提供を目指している」という。
さらに、これまで衛星とスマートフォンの直接通信ではメッセージサービスの提供を想定していたが、「いろいろと検討していくと、(Googleの生成AIである)Geminiが使えるということが分かって、AIサービスの連携を含めて検討している」と高橋氏。「メッセージだけのサービスではちょっと寂しいので、楽しいサービスを提供できるよう考えている」としている。
金融事業では、顧客基盤は順調に拡大していることから、さらなる成長に向けてAI活用を推進するため、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)との協業を強化し、金融特化のLLMの開発、次世代リモート接客プラットフォームのコンビニ活用などの取り組みを進めていく。
法人部門も好調で、通信・AI基盤の運用・セキュリティといったサービスを提供するWAKONX、その通信基盤であるConnectIN、セキュリティ事業のLACの子会社化といった事業を進め、さらなる成長につなげたい考えだ。
関連記事
社長交代のKDDI 松田新社長に期待される“AI時代”のビジネスとは
KDDIは2025年2月5日、現在CDO(最高デジタル責任者)を務める松田浩路常務が、4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。高橋誠社長は、代表権のある会長に退く。社長交代は7年ぶりとなる。KDDI高橋社長、「大規模通信障害が最も印象に残った」 苦難を乗り越え、ネットワーク品質評価へ
2025年2月5日、KDDIが決算会見直後に社長交代を発表した。その発表の中で、高橋誠社長が社長就任から7年後の現在に至るまでを振り返る場面があった。「長時間の通信障害がやっぱり一番印象に残っている」という。上期決算「KDDI・ソフトバンク」と「ドコモ」で明暗が分かれたワケ 鍵を握る“メインブランドへの移行”
ドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社が、上期決算を発表した。3社とも、2021年からの官製値下げで通信事業の収益確保に苦しんでいたが、KDDIとソフトバンクはその状況を完全に脱したように見える。背景には、メインブランドへの移行が進んでいることがあるが、ドコモは通信サービス収入が減少した。KDDI高橋社長が語る「30GBプラン競争」と「スマホ販売の課題」 RCS活用の“次世代メッセージング”にも意欲
KDDIが次世代メッセージングのRCSを導入へ。生成AIや衛星通信との連携を進め、iPhone対応も見据えた新たな通信サービス展開へ通信品質を磨いたら「auマネ活プラン」が好調で、金融事業にもプラス効果(課題もあり)――KDDI高橋社長が語る2024年度第1四半期決算
KDDIが2024年度第1四半期決算を発表した。前年同期比で増収増益となった決算は、通信品質向上への取り組みが携帯回線のアップセルにつながり、特に「auマネ活プラン」の好調は顕著だったという。auマネ活プランはauの金融サービスの利用率アップにも貢献したそうだが、新たなる課題も見つかったという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.