中古市場でも王者のiPhone 「リセールバリューが高い理由」と「海外市場との関係」:粟津浜一の中古スマホ最前線(1/2 ページ)
iPhone 16eの発売に伴い、iPhone 8やSEシリーズといったホームボタン付きのiPhoneが中古市場で再び人気を集めています。なぜiPhoneのリセールバリューは高いのでしょうか。Androidスマートフォンとも比べながら考察します。
株式会社ニューズドテック 代表取締役社長の粟津浜一です。弊社は、「温故知創でサステナブルな社会をつくる」を使命として掲げており、中古端末を新品同様の品質に再生した「ニューズドフォン」を提供しています。
近年、中古スマホ市場は急速に拡大しており、市場シェアは約10%に達し、年間15%の成長を続けています。本連載では、この成長著しいマーケットの最新動向をお届けします。
さて、iPhoneの新モデル「iPhone 16e」が2月28日に発表されました。今回のモデルでは生体認証のTouch IDが廃止されるため、iPhone 8やSEシリーズといったホームボタン付きのiPhoneが中古市場で再び人気を集めています。
新型iPhoneへの機種変更を考えている方にとって、旧端末のリセールバリュー(再販価値)も重要なポイントとなるでしょう。そこで今回は、「なぜiPhoneのリセールバリューは高いのか?」をテーマに、その理由を詳しく解説していきます。
中古市場でも人気のiPhone 販売ランキングでは「SE」が上位を独占
まず、iPhoneの歴史をおさらいしましょう。2008年7月11日、日本国内で「iPhone 3G」が発売されました。発売直後から、当時独占販売していたソフトバンクショップには長蛇の列ができ、iPhone 3Gの登場はガラケー時代からスマートフォン時代への大きな転換点となりました。
タッチスクリーンと直感的な操作性、物理キーボードを排除した革新的なデザインで高い人気を得て、その後も進化を続けながら、現在に至るまで多くのユーザーに支持されています。
iPhoneは中古市場においても圧倒的な人気を誇っています。MM総研の2023年度の調査によると、日本国内の中古スマートフォン市場は過去最高の272.8万台に達し、前年比16.6%の成長を記録しました。そのうち、iPhoneのシェアは60%とも70%ともいわれています。
ニューズドテックの2025年2月度の中古スマホ販売ランキングによると、1位は「iPhone SE(第2世代、64GB)」、2位は「iPhone SE(第3世代、64GB)」、3位は「iPhone SE(第3世代、128GB)」で、SEがトップ3を独占しています。
iPhoneの値下がり率はAndroidよりも低い
ニューズドテックの買い取り価格データベースをもとに、iPhoneとGalaxy、Xperiaの値下がり率を比較しました。iPhone 16eの前世代機とされるiPhone SE(第3世代)と「iPhone 13」を対象にした調査の結果は以下の通りです。グラフをご覧ください。
iPhone SE(第3世代)の発売時価格から2024年12月までの値下がり率が28%なのに対して、Androidの「Galaxy A23 5G」と「Xperia 10 IV」は60%でした。iPhone 13も同様の結果を示し、値下がり率が41%なのに対して、Androidの「Galaxy S21」は66%、「Xperia 1 III」は74%でした。このデータからも、iPhoneのリセールバリューが圧倒的に高いことが分かります。
リセールバリューはどうやって決まっているのか
リセールバリューは単に国内市場だけで決まるのではなく、世界のサプライチェーン全体の動向によっても影響を受けます。具体的には、iPhoneの中古市場は世界的に需要があり、日本国内の価格もその影響を受けています。
例えば、東南アジアやアフリカでは新品のiPhoneが高価であるため、中古市場の需要が非常に高くなっています。そのため、日本国内で買い取られたiPhoneが海外市場でも取引されることで、国内の買い取り価格も安定しやすくなります。
日本国内のiPhoneが国内販売で売れ残ったとしても海外で売れるので、事業者側としては強気に買い取り価格を設定できるため、消費者にとっては高値で買い取ってもらえるというわけです。iPhoneはグローバル市場で価値を持つモデルであり、他のスマートフォンよりも高いリセールバリューを維持しやすいのです。
関連記事
「iPhone 16e」発売後に「中古iPhone SE」の売れ行きが倍増したワケ SE人気はいつまで続くのか
伊藤忠グループのBelongは、「iPhone 16e」の発表に伴い、中古スマホ販売サイト「にこスマ」における「iPhone SE」シリーズの販売動向を発表した。携帯電話市場では、「iPhone SE(第3世代)」の在庫がキャリアで一斉になくなったり、小型スマホを求める声がSNSで一部見られたりした。iPhone SEシリーズはなぜここまで人気なのか……?「iPhone SE」シリーズが中古スマホ販売トップ3を独占、iPhone 16e発売の影響か ニューズドテック集計
ニューズドテックは、2月の中古iPhone販売数ランキングを発表。iPhone SEシリーズがトップ3を独占し、iPhone SEシリーズのトップ10の販売台数シェアが62%に達した。iPhone 16e発表で中古iPhone SEの販売台数が前月比400%に ニューズドテックが発表
ニューズドテックは、iPhone 16e発表前と発表後での中古iPhone SEシリーズ販売台数を発表。前週同期比で264%、前月比で400%を超える伸びを記録したという。iPhone有利? スマホ購入プログラムの「買い取り価格」はどのように算出しているのか 中古業界団体のRMJに聞く
スマートフォンの購入プログラムで設けられている残価の基準として、業界団体のRMJがまとめた買い取り価格の平均値を参照することになった。結果として、リセールバリューの低い機種は残価を抑えざるを得なくなり、実質価格が上がった格好だ。なぜこのような仕組みになり、買い取り価格はどのように算出しているのか。「中古iPhone」はどこで買うのがお得? キャリア、中古店、MVNO、メーカーそれぞれのメリットを整理する
iPhoneを安く購入する方法として、「中古iPhone」に注目が集まっている。ここ1~2年でキャリアでも販売を強化するなど、中古市場に詳しくない人でも買いやすい状況が広がりつつある。キャリアでの買い方や、メーカーやMVNOの選択肢にも触れる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.