au新料金プランは「王道」「異例」の改定、UQ mobileは“ahamo対抗”の役割を終えてブランド再編に:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
KDDIは、6月3日にauとUQ mobileの両ブランドに新料金プランを導入する。先に新料金を発表していたドコモと同様、料金プランに含めるサービスを拡充した上で値上げを実施。一方で、auは既存の料金プランも8月に値上げした上で継続するのが、これまでの新料金プランとの大きな違いだ。
既存料金プラン値上げの衝撃、使い放題以外もまとめて改定
料金プランを新設して、移行を促していくのはある意味キャリアの王道といえる手法だが、異例なのが、既存の料金プランも値上げに踏み切ることだ。例えば、使い放題MAX+の場合、auバリューリンクプランと同じau 5G Fast Laneやau海外放題の15日間分無料、サブスクぷらすポイントが加わり、料金は330円値上がりする。
より分かりやすくいえば、Pontaパスの有無がauバリューリンクプランと使い放題MAX+の差分になるということだ。使い放題MAX+の新料金は7788円。各種割引適用後は、5258円に下がる。サービスを増やした分、対価として330円が上がる格好だ。通常、新料金プランを増やした場合、現行の料金プランは受付を終了しながらも、価格は維持することが多い。
例えば、ドコモも「ドコモMAX」や「ドコモmini」を導入するが、6月5日以降も、既に契約していた「eximo」や「irumo」はそのままの容量、料金で使い続けることができる。値上げした場合も、通信方式を変えたり、データ容量を増やしたりして、ユーザーが自らの意思で新料金プランを選択するような建て付けになることが多い。使い放題MAX+のように、自動的に料金が上がるのはレアケースといえる。
一方で、料金プランの新設だと、移行のペースはどうしても緩やかになる。物価が急速に上がっている状況だと、“実質値下げ”になってしまいやすい。松田氏も、「大きな背景として、社会全体であらゆる価格の見直しが進んでいる」ことを挙げていた。ユーザーからの反発がある程度あることも予想した上で、新サービスの付与によって、値上げを許容してもらえるように腐心したことがうかがえる。
また、一連の価格設定からは、Pontaパスの加入を促進したい狙いも透けて見える。使い放題MAX+の新料金と、auバリューリンクプランの差額が、わずか220円だからだ。松田氏は「(Pontaパスに)魅力を感じていただける方は、よりお得にauバリューリンクプランに入っていただける構造になっている」と語っていた。放っておいても値上がりするなら、220円の追加でPontaパスも入手したい――そう考える人は、少なくないはずだ。
もっとも、使い放題MAX+はもともと料金が高い最上位プランで、率で見れば値上げ幅は小さい。割引適用後でも6.7%の値上げにとどまっており、むしろ、端末の買い替えで月額料金が増えることの方が多いほどだ。通信品質やデータ容量、サービスにかかるコストをいとわない層が契約する料金プランのため、すんなり受け入れられそうな印象はある。一方で、その他の料金プランを契約しているユーザーがどう受け止めるかは未知数な部分もある。
例えば、スマホスタートプランやスマホミニプラン+などは、改定後に220円値上げされるが、新たに付くサービスはサブスクぷらすポイントのみ。ルーターやケータイに至っては、単純な値上げになる。auバリューリンクプランや使い放題MAX+の話題性があったため、陰に隠れてしまった感はあるが、これらの料金プランを使うユーザーがauから離れてしまうリスクもあるといえそうだ。
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