非通信事業者の「○○モバイル」が増えているワケ ミークが手掛ける「MVNO as a Service」の勝算:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
通信事業のノウハウを持たない企業や個人とタッグを組み、ホワイトレーベル的にサービスを提供するMVNOが徐々に増えている。こうした事業は、エックスモバイルやpovo2.0を手掛けるKDDI Digital Lifeが展開しているが、最近ではIIJも「JALモバイル」などで成果を上げている。このホワイトレーベル型MVNOのサービスを新たに手掛けるのが、ミークが設立したミークモバイルだ。
非通信事業者の参入が増えるMVNO、一方でハードルの高さも
MVNEの支援を受けることでサービスを立ち上げやすくなっているMVNOだが、実際には、コストや時間もかかる。「経験がない中で、MNOや老舗MVNOのようなレベルのモバイルサービスを立ち上げ、運営していくのは難しい」(小林氏)のが実態だ。実際、「検討を進めていくとさらに難しいポイントが分かり、立ち止まってしまうお客さまが多い」(同)という。
MVNEを使っていても、「申し込みページから始まり、本人確認の仕組みを作り、管理システムを作って月額課金を回せるようにして、さらにそのオーダーのやりとりをMVNEとの間でAPIのやりとりができるようしなければならない」(同)。ここに、初期投資や時間がかかる。ミークモバイルの試算では、システム開発に2000万~3000万円程度、開発期間にも6カ月以上の時間を要する。
ミークモバイルのプラットフォームであれば、収入は小さくなるが、この時間とコストを大きく圧縮できる。経済圏の中に組み込むだけであれば、より身軽な仕組みなっているというわけだ。実際、モバイルサービスは経済圏の中で重視される割合が高く、これを組み込みたい企業も増えているという。小林氏はMMD研究所のデータを上げ、ユーザーが経済圏の中で意識しているサービスの3位にモバイルサービスが挙がっていることを指摘する。
「参入するのは結構難しいサービスなので、限られた方しか参入していないが、それでも消費者には重要視されている」(同)というギャップがある。事実、MVNOを手掛ける企業の業態も、この数年で変化している。
峯村氏によると、「2020年の断面ではインターネットサービスや固定通信など、何らかの通信をやったことがある事業者がモバイルサービスもやりたいと(ミークに)お越しになっていたが、昨年(2024年)末のスナップショットでは、通信をやったことはないが自社で抱えている会員向けに提供したいという方が4割近くまで増えている」という。
MVNO全体の契約者数を見ると、IIJやオプテージ、ドコモ(旧NTTレゾナント)、JCOMといった通信事業者のサービスは依然としてシェアが高い一方で、最近では小売系のMVNOとしてイオンモバイルが上位に名を連ねるようになった。直近では、メルカリモバイルやミークが支援した前澤友作氏のKABU&モバイルも話題を集めている。異業種からMVNOに参入する流れが、定着し始めているのは間違いない。ミークモバイルの登場で、その傾向に拍車が掛かる可能性もありそうだ。
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