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5Gが好調のau、料金値上げが好循環に 課題の金融事業は「マネ活プラン」強化でてこ入れ 決算会見で語られたこと(2/2 ページ)

KDDIは11月6日、2026年3月期第2四半期の連結決算を発表した。松田浩路社長は、モバイル事業が順調に拡大し、期初の想定通りの進展であることをアピール。KDDI全体の通期目標では、注力領域における金融とビジネスセグメントのDX分野の成長が課題だと松田氏は指摘する。

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金融事業の成長が課題 auマネ活プラン+の特典強化へ

 KDDI全体の通期目標では、注力領域における金融とビジネスセグメントのDX分野の成長が課題だと松田氏は指摘する。


下期の営業利益計画。注力領域はDX、金融、エネルギー、ローソンが含まれ、300億円の利益を積み増すためには金融とDXの成長が必要になる

 金融部門のauフィナンシャルグループは、営業利益が31億円増の229億円となった。auじぶん銀行は個人預金残高が対前年同期比1.3倍となったが、預金獲得競争が激化している。これまで住宅ローンを重視していた同銀行だが、今後は預金調達力のさらなる強化が必要だと松田氏は述べる。

 そのためにも、現行のauマネ活プラン+などの特典を強化し、さらなる預貸率の向上を図る。同時に証券との連携も拡大する。三菱UFJ eスマート証券との連携を継続しつつ、さらにSBI証券との連携も拡大し、銀証連携を強める。クレジットカード部門では、特にau PAYゴールドカードの会員数拡大を目指す。

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金融領域では預金残高の拡大を図る

 具体的な方策が示されたわけではないが、松田氏は「銀行とクレジットカードは大事なピースであり、この(通信と金融の連携という)領域の先駆者として、もう一度ネジを巻き直してやっていきたい」と話す。

 NTTドコモが住信SBIネット銀行を傘下に収めてd NEOBANKを開始し、ソフトバンクがPayPayのシェアを背景とした金融連携で急成長しているという現状について、勝木朋彦常務は「他のキャリアと切磋琢磨して通信と金融の領域を伸ばしていきたい」としつつ、PayPayの取り組みについては「KDDIの金融事業にとっても学びが多い」と分析する。

 松田氏は、2026年度は次期中期経営計画の初年度になるため、金融領域での新たな計画も策定していく方針を示しており、金融領域のさらなる拡大を図りたい考えだ。

5G SAの人口カバー率を90%に ミリ波対応端末も増やしていく

 松田氏の社長就任から半年がたち、モバイルでの料金改定をしたことで、「着実に将来に向けた事業基盤の構築が進んだ」という。基盤が整えられた状況で次期中期経営計画の策定時期となり、松田氏は、重要テーマとしてAIと次世代インフラ、付加価値、成長領域の拡大といった持続的成長に加え、規律ある成長投資と事業ポートフォリオ見直しなどによる安定的な成長を重視する。

 ネットワークでは5G SAエリアをさらに拡大し、既に業界最多という5.6万局を設置したSub6とミリ波の5G基地局をさらに拡大。4G転用周波数の5G SA化も実施することで、第4四半期には人口カバー率90%を超えることを目指す。

 松田氏自身思い入れが強いというミリ波に関しては、ミリ波のエリア拡大を図る中継器の実証実験を行っており、ユースケースを実証して、利用拡大を図っていく。それに合わせて、端末メーカーがミリ波対応スマートフォンを開発するよう、松田氏自ら交渉していく方針だ。


ネットワーク高度化では5G SAエリアを日本中に広げ、ミリ波も拡大する

 国内でのAIサービスを支える基盤として、大阪・堺のデータセンターを2026年1月から稼働開始し、大和総研が既に導入を決めているという。


国内でデータを活用できる堺のデータセンターによって、国内事業者が安心してAIデータセンターを利用できるようにする

 Googleと提携したAIサービスとして、GeminiやNotebookLMというAIプラットフォームを活用し、コンテンツプロバイダーのコンテンツを提供する新サービスは、6社の参画が決定している他、既に50社に声がけをしているという。発表後、さらに多くの企業からの問い合わせがあるとのことで、サービス開始時には6社以上のコンテンツを提供したい考えだ。


KDDIの決算のまとめ
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