ダイソーで550円、USB Type-Cで充電できる乾電池型バッテリーを試す 便利だけど注意点もあり(2/2 ページ)
ダイソーで販売されている「USB-C充電式乾電池型リチウムイオンバッテリー」は、見た目は一般的な単3電池そのもの。しかし、USB Type-Cポートを備え、ケーブルを直接差すだけで充電できるというユニークな製品だ。専用の充電器が不要で、スマートフォンやノートPCと同じUSBケーブルで充電できるが、注意点もある。
充電時の取り扱いは特に注意 最悪の場合は発火も
このようなバッテリーを使用する上で最も重要な注意点は、機器に入れたまま充電してはいけないことだ。このタイプのバッテリーは、充電中はバッテリーの1.5Vに加えて、リチウムイオン電池の定格入力である3.6Vも合算して取り出せてしまう仕様が多い。
このため、充電中は電池の端子から最大で5V前後の電圧を取り出せてしまうことになる。機器に入れた状態で充電してしまうと、機器側に過電圧がかかって破損し、最悪の場合は発火する可能性がある。直列接続なら2本で10V、4本なら20Vを取り出せてしまうので、充電方法を誤ると本当に危険なのだ。
幸い、ダイソーの乾電池型バッテリーはプラス側端子にUSB端子を備える構造なので、物理的に機器から電池を取り外さないと充電できない構造となっている。そのような意味では、前述した事故を防止する設計がなされているといえる。
ダイソーのものといえど乾電池型ゆえにプラス・マイナス端子が露出する構造のため、金属物との接触や湿気によるショート事故に注意したい。充電は必ず電池を取り外した状態で行い、水気のある場面や金属製のものを近くに置いたりすることは厳禁だ。
また、モバイルバッテリーと同じ感覚でカバンの中やポケットに入れての充電は、ショートによる思わぬ感電や発火の恐れがあるので絶対に避けよう。
保管・廃棄時も乾電池と異なるので注意が必要
電池の保管や廃棄方法も、リチウムイオン電池ゆえに乾電池と異なる点にも注意したい。乾電池以上に高温多湿な環境での使用や保管、完全放電状態での長期放置は避ける必要がある。夏場の高温になる車内などに「予備」で保管しておくのは厳禁だ。
また、リチウムイオン電池の特性上、長期保管による完全放電した後はなかなか復活しないことも多い。懐中電灯に入れっぱなし、非常時の備えで長期保存を前提に置いておく用途には向かない。
廃棄時は一般の乾電池と同様に処分できず、リチウムイオン電池として処分する必要がある。販売元の磁気研究所はJBRCの会員企業であるため、正規手順での回収が可能だ。
この会員企業はメーカーの担当窓口などに使用済み電池を送付するといった回収方法が整備されているため、正規の手順でリサイクル処理が可能。また、家電量販店や自治体の廃棄物回収窓口でも回収してもらえる場合もある。この点は、安価な無名ブランド製品にはない安心材料といえる。
危険な点を理解して使えば便利な新しいタイプの「乾電池」
前述した注意点を踏まえれば、USB Type-C充電式乾電池は非常に便利なアイテムと考える。乾電池のようにすぐ使え、モバイルバッテリーのように繰り返し充電できる。まさに両者のいいとこ取りともいえる存在だ。
特に、懐中電灯といった灯具、PC周辺機器など使用頻度の高いデバイスでは抜群の実用性を発揮する。USB Type-Cケーブルさえあればどこでも充電できるため、旅行や非常時のバックアップとしても有効だ。
ただし、「乾電池のように扱えるが、乾電池ではない」という点を理解しておくことが重要となる。使い方を誤れば、機器の破損や発熱などのトラブルにつながる可能性もあるため、安全面を理解した上で運用したい。
ダイソーのUSB Type-C充電式乾電池は、安価ながら正式なPSE認証を受け、正規のリサイクル体制も整った「ギーク向けだが、ちゃんとした製品」である。電圧も1.5Vを安定して出力し、乾電池の代替えとして十分に機能する。用途と注意点を理解し、適切に扱えば、日常使いからもしものときまで幅広く活躍する。そんな新しい時代のバッテリーといえる。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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