楽天モバイル、1000万回線突破も残る「通信品質」の課題 5G SAの早期導入とKDDIローミング再延長が焦点に:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
楽天モバイルは契約数1000万を突破し、三木谷氏は次なる目標として「早期に2000万」を掲げた。 ユーザー急増とデータ無制限プランにより一部で品質が低下しており、5G導入や地下鉄の帯域拡大を急ぐ。 2026年には5G SAの導入やKDDIローミングの終了を控え、通信品質とエリア維持の両立が急務だ。
SNSの声を電波改善に反映、5G SAは年内導入へ
首都圏の駅やスタジアムなどの施設はある種、対策の必要性が明確な場所といえるが、それ以外の細かな場所も、ユーザーの声を拾い、改善のサイクルにつなげていく方針だ。矢澤氏は、「お客さまの声に対して、どれだけ早く電波改善を進めていけるかも重要」と語る。
具体的には、X(旧Twitter)などの「SNSを24時間モニタリングにして、俊敏に対応できるようにしていく」という。楽天モバイルは、オンラインの電波改善フォームを用意しており、そこから声を上げることもできるが、受け身になりがちだ。自らユーザーの電波に関する声を拾いにいく方向に転換したといえる。
矢澤氏は、「このサイクルを進めることで、楽天モバイルにつながりにくいというネガティブなエモーション(感情)にすぐに対応し、ポジティブな気持ちになっていただくとともに、電波改善につなげていく体制を作っていきたい」」と語る。カスタマーサポートと電波改善を一挙に解決していけるというわけだ。
こうした改善を加え、「安くて使い放題なだけでなく、つながりやすさでもナンバーワンを目指す」(同)というのが楽天モバイルの考えだ。ただ、ネットワーク改善をNSAの5Gに頼っている点には不安も残る。同社は、4キャリアの中で唯一、5G SAの商用サービスを開始しておらず、現状の5Gは4Gのアンカーバンドを必要とする5G NSAにとどまる。
5G NSAの場合、帯域の広い5Gに接続する前に、一度4Gを経由しなければならない。4Gのネットワークをそのままつかみ続けることもあり、ここがボトルネックになる恐れがある。4Gが詰まると、せっかくの広い帯域を生かす前に、データ通信が流れなくなってしまう。特に楽天モバイルの場合、4Gの帯域がトータルで20MHzしかなく、全ユーザーが同じ周波数に集中する。
矢澤氏によると、「他社ではそういったことが起こっていると耳にしているが、楽天モバイルではNSA(のアンカーバンド)でのパケ詰まりは、ほとんど起こっていない」というものの、構造的にはユーザーが増えれば増えるほど、そのリスクは高くなる。異なる世代を行き来する複雑性もあり、業界ではより構成がシンプルな5G SAを評価する声は多い。
関連記事
楽天モバイルのネットワーク改善戦略 都内地下鉄は7月に対策完了へ、「つながりやすさでもNo.1を目指す」と矢澤社長
楽天モバイルが2月2日、「つながりやすさ強化宣言2026」と題して、ネットワーク改善の見通しについて説明した。繁華街や混雑する場所では5G基地局を整備してトラフィックを分散している。都内の地下鉄は、2026年7月に電波対策が完了する見通しだ。「楽天モバイルは2000万回線を目指す」 三木谷氏が語る、楽天市場への送客効果と“最強の福利厚生”
楽天グループは2026年1月、東京都内で楽天市場の出店店舗などを対象としたイベント「新春カンファレンス2026」を開催した。本カンファレンスでは、楽天グループ 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏が登壇。グループの中核事業である「楽天モバイル」の最新動向と、それが「楽天市場」をはじめとする各サービスや出店店舗にどのようなメリットをもたらすかについて、具体的な数値や事例を交えて講演を行った。KDDI、楽天モバイルとの「ローミング重複エリア」を順次終了 松田社長が言及
2026年2月6日、KDDIが「2026年3月期第3四半期決算説明会」を開催。松田浩路社長が登壇した。松田氏が楽天モバイルとのローミング契約に言及した。楽天モバイルの現状と課題 「年内1000万契約」の高い壁、基地局増設の遅れでネットワークに不安要素も
楽天モバイルの契約数が950万に達したが、年内の1000万契約に向けてどこまで伸ばせるかが焦点の1つだ。10月に開始した「Rakuten最強U-NEXT」も、契約者獲得やARPU上昇にはプラス材料になりそうだ。一方で、KDDIのローミング期限が1年を切り、ネットワークの課題はまだ残されている。楽天モバイル「ナンバーワンキャリア」への戦略 2026年に5G SA開始へ、衛星通信は「前倒しで開始」検討も
7月に900万回線を突破し、1000万回線が見えてきた楽天モバイル。今後はAIと衛星通信が鍵を握るとみて、サービスの開発や強化に努めている。5Gのカバーエリアも拡大し、2026年には5G SAサービスを開始することも明かされた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.