ソフトバンク、売上高7兆円突破で過去最高更新 “ホッピング抑制”の構造改革と「AIインフラ」への大転換(2/2 ページ)
ソフトバンクは2025年度の売上高が初めて7兆円を突破し、過去最高を更新した。同時に発表した新5カ年中計では2030年度に営業利益1兆7000億円を目指し、AIインフラへの大規模投資と、モバイル事業でのARPU向上戦略への転換を打ち出した。
主力2ブランドは6月値上げ、LINEMOは「予定なし」
ソフトバンクは4月に発表していた料金プラン改定を、主力ブランドのソフトバンクとY!mobileで6月2日から実施する。ソフトバンクの大容量プランは月額550円、小容量プランは330円、Y!mobileのシンプル2は330円、シンプル3は220円の値上げとなる。料金改定と合わせて、海外データ放題などの新サービスも始める。
料金改定の増収効果について、秋山修CFOは決算質疑で、2027年度は1000億円規模に達するとの見通しを示した。2026年度は6月からの期中実施となるため、効果は数百億円規模にとどまる見通しだ。
一方、LINEMOの値上げについて宮川社長は「今のところ考えていない」と明言した。LINEMOの契約者数は伸びているものの、主力2ブランドが契約者の大半を占めるという。宮川社長は「他社さんが1社でなかなか頑張っているところがあるので、ちょっとけん制しようかなと思っている」と述べ、価格据え置きで競合のオンライン専用ブランドを意識する姿勢を示した。
設備投資は4100億円、海底ケーブル・HAPS・AI-RANに先行投資
2026年度の設備投資は4100億円規模で、これまでキープしてきた3300億円から大きく増える。宮川社長は内訳について「1つ大きいのは海底ケーブル。毎年400億円近くを見ている」と説明し、需要の拡大に応えるための先行投資だとした。基地局の分散や補強といった既存ネットワークの強化も合わせて進める。
ネットワークの新領域への投資も加速する。4月に開始した「JAPANローミング」は災害時に4キャリアが相互にバックアップする仕組みで、複数キャリアでの冗長化を実現する。スマートフォンと衛星を直接接続する「Starlink Direct」は4月から提供しており、対応端末は82機種、1000万台超に達した。
成層圏無人機による通信サービス「HAPS」は、米Sceyeへの出資を通じて開発を進めており、2026年内に日本国内でプレ商用サービスを開始する予定だ。次世代基地局技術のAI-RANについては「展開はもう少し先で、今は初期準備の段階」(宮川社長)とし、本格的な投資は新中計に織り込んでいない。既存の設備投資の枠内で、ベンダー調達分を自社開発に置き換える形で進める。
「音声」から「ビット」、そして「トークン」を運ぶインフラへ
宮川社長は決算説明会で、2030年に向けたネットワーク進化の方向性を示した。ネットワークは音声をつなぐためのものから、インターネット時代にビットを運ぶインフラへ進化してきたと指摘し、AIとの共存社会では「トークンを運ぶインフラが不可欠になる」と述べた。
AIデータセンターからデバイスまでをAIが最適化する一気通貫のネットワークを5年かけて整備する。新中計の期間は、これまで投資してきたAIインフラの「収穫フェーズ」と宮川社長は位置付ける。モバイル事業を含むコンシューマー事業のARPU向上戦略と、AIインフラなど新規領域での収益化が同時に問われる5年間となる。
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