スマホ“最大規模の値上げ”はいつまで続く? 「1円スマホ」が存続危機、一方で影響を免れる中国メーカーも(1/3 ページ)
AI産業の需要爆発に伴うメモリ価格の高騰と円安の進行がスマートフォンの販売価格を押し上げている。中韓メーカーを中心に発売後の異例な値上げが相次ぎ日本国内でもハイエンド機の高価格化が顕著だ。次世代チップの製造コスト上昇も控える中、大容量モデルを求めるなら、今早めに購入することが推奨される。
スマートフォンの値上がりが続いている。その主因はメモリ価格の異常な高騰だが、日本市場ではそこに円安という追い打ちも加わる。中国や韓国では2026年春に業界全体に波及する値上げが相次いで実施され、その波は既に日本にも押し寄せている。この値上げはいつまで続くのか、そしてスマホの買い時はいつなのかを考えていく。
スマートフォンが値上がりしている理由 DRAMやNANDの異常な高騰
スマートフォン値上げの背景に常につきまとうのが「メモリの高騰」だ。その主因は、ChatGPTに代表される大規模言語モデルをはじめとするAI産業がメモリ需要を独占してしまったことにある。
現状でSamsung Semiconductor、SK Hynix、Micronの3社が業界のシェア約9割を占めるという寡占状態にある半導体メモリ業界において、このAIによる需要爆発はメモリ価格を際限なく押し上げている。
Counterpoint Researchの調査によると、2026年第1四半期のメモリ価格は前年同期比で約2倍も上昇しており、過去に例のない最高水準の急騰となっている。ストレージに用いられるNANDフラッシュも同様に、前年同期比で2倍という並行した上昇が続いている。スマホのコアパーツであるこれらの部品の仕入れ原価が2倍に膨らむとなれば、本体価格の値上げは必然といえる。
加えて、このメモリ高騰は長期化が見込まれている。現在、メモリの製造元は利益率の高いAI向けの高帯域幅メモリ(HBM)の生産にリソースを集中させており、一般スマートフォン向けのメモリやNANDストレージへの割り当てが絞られている状況だ。
これらの需要増加に応えるため、各社は新規製造ラインの立ち上げを進めているが、これらが稼働して供給正常化の見込みが立つのは、早くても2027年以降と予測されている。このため、2026年中のメモリ高騰は確実視されているのだ。
中国や韓国メーカーを中心に「スマホの値上げ」が到来
メモリ高騰でスマホは「そのうち値上がりするかもしれない」という話は、既に現実になっている。2026年3月から4月にかけて、中国では主要メーカーが一斉に価格改定を断行した。近年では最大規模となる値上げの波が押し寄せている。
値上げの口火を切ったのはOPPOで、3月16日からAシリーズを300~500元(約7000~1万1500円)引き上げ、コストパフォーマンスに優れるKシリーズやフラグシップのFindシリーズ、OnePlusブランドも同幅で値上げした。
中国国内大手のvivoも3月18日から値上げに追随している。上位のvivo X300シリーズが300~500元(約7000~1万1500円)の値上げとなり、iQOOシリーズや普及価格帯のS、Yシリーズも同様に値上げに踏み切った。HONORもほぼ同じタイミングで一部機種を対象に最大500元の値上げを行っている。
Xiaomiは長らく最後のとりでとして踏みとどまっていたが、4月3日についに価格改定に踏み切った。4月11日からREDMI K90 Pro Maxを200元(約4600円)引き上げ、他機種もこれに追従している。他ブランドが日本円換算で1万円近い値上げをする中では、最も抑制的な対応といえる。
値上げに踏み切ったのは中国勢だけではない。韓国サムスンも既存モデルへの値上げを実施している。韓国ではGalaxy Z Fold7、Z Flip7、S25 Edgeに対して4月1日から価格が改定され、512GBモデルで約10万ウォン(約1万円)、1TBモデルでは約20万ウォン(約2万円)に引き上げた。この値上げは北米向けにも行われており、世界的な値上げ傾向として波及するのではないかとみられている。
また、4月16日付けで日本向けも価格が調整され、直販モデルのGalaxy Z Fold7、Z Flip7の512GB以上の大容量モデルにて1万円以上の値上げが行われている。
通常、スマートフォンは発売後に価格が下がるものだ。しかし今は中国勢・韓国勢ともに、発売後に価格が上がるという前代未聞の事態が起きている。大容量モデルほど値上げ幅が大きくなるパターンはGalaxyも例外ではなく、512GBと1TBの価格差がウォンベースで倍開いていることはその典型といえる。
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