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フォルダブル歴5年の筆者も驚いた「iPhone Duo」の完成度 ソフトウェアの力で再定義できるか石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

Apple初のフォルダブル「iPhone Duo」は、無段階ヒンジと質感の高いディスプレイを採用している。ソフトとハードが融合した秀逸な操作性を持つ一方、閉じたときの厚さと重量には課題が残る。さらに約36万円という日本での高価格が普及の壁となるが、フォルダブルの新たな可能性を示した。

自由自在な無段階ヒンジと、消した反射をあえて描く「Appleの狂気」

 ヒンジがすごいのは、その開閉感だけではない。角度を無段階に調整できるところからも、Appleのこだわりを感じた。過去のフォルダブルスマホの多くは、ヒンジの角度を調整できないものや、調整できても一定の範囲までというものが多かった。これまで、半開きで使う「フレックスモード」を売りにしてきたサムスン電子も、Galaxy Z Fold8では90度から少し開くと本体がパタンと開いてしまうこともあり、同機能への対応を見送っている。

 これに対し、iPhone Duoは閉じるギリギリの状態でも止まるし、開ききる前ギリギリの状態でも固定できる。さすがに完全に開く直前の状態だと重量バランスの関係でヒンジだけが机やテーブルの面に接する形になってしまうが、かなり角度をつけてもディスプレイの自重で勝手に開くことはなかった。


こんなに角度がついていても、きちんとこの状態を維持する

 単なるこだわりではなく、これは半開きで使う際の使用感にも直結する。iPhone Duoは、半開きの状態にすると机やテーブルに接した方の面のディスプレイが操作パネルに切り替わる。サムスン電子が、フレックスモードと呼んでいたものに近い。本体を置いたままカメラを撮影できたり、スタンドがないところで動画を見たり、出先でビデオ会議に参加したりする際に便利な機能だ。

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 この半開きの状態で、角度の調整を自由自在にできるため、利便性が大きく向上している。カメラだとフレーム内に入れる被写体を調整しやすく、近くのものを撮りたいときには角度を狭め、遠くのものを撮るときは90度に近づるといった調整が自由自在に行える。動画視聴やビデオ会議の時には、見やすいポジションに調整しやすい。


カメラ撮影や動画撮影時の調整がしやすく、使い勝手を高めるヒンジだ

 動画視聴の際には机やテーブルに接した面のディスプレイに映像が反射する……と思いきや、実はこれも光を計算しながら、ディスプレイ上にあえて映り込みとして描画しているものだと聞かされて驚いた。よくよく考えれば、Nano-texture仕上げで反射を抑制しているため、普通なら映像の映り込みも最小限に抑えられる。実際、操作パネルが表示されている際にも、それが確認できる。

 とはいえ、半開きにしたときには、映像が反射している方が自然に見える。ここに映像が反射しても特にユーザーにとってのメリットはないはずだが、自然に見えることの一点にこだわり、それをソフトウェアで再現してしまうところには、いい意味での“狂気”も感じた。フォルダブルスマホならではの体験を作り出そうという姿勢を示しているかのようだ。


画面下半分の映り込みは、ソフトウェアで作り出したものだった

 ハードウェアの力で消したはずなのに、あえて出すというソフトウェア処理は、アンダーディスプレイカメラ(UDC)の挙動にも共通している。カメラはディスプレイ下に埋め込まれており、切り欠きやパンチホールがないため通常時は映像の妨げにならない。一方で、これだと、撮影時にどこに目線を合わせればいいのかが分からない。そこで、Appleはインナーディスプレイで自撮りが必要なときだけ、あえて切り欠きを作ってカメラがある位置を示している。


UDCを採用しているが、撮影時のみ、あえてカメラがあるような表示に切り替わる

 開閉時のソフトウェア処理も秀逸だった。オフィシャルの映像でも使われているため、iPhone Duoに興味のあるほとんどの人が知っているかもしれないが、開くときには、アウターディスプレイが徐々にすりガラスのようになっていき、同時にインナーディスプレイの左半分が映るようになる。こうした処理を加えることで、奥行きが生まれ、あたかも最初から中に広いディスプレイが広がっていたかのように見える。

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