Nothingは経営危機なのか 黒住氏は日本撤退を否定、値上げは「モデルチェンジのタイミング」で
Nothing Technology Japanの黒住吉郎マネージングディレクターが9月24日、同社の経営を巡る報道について記者の質問に答えた。「経営危機というレベルではない」とし、日本を含む市場からの撤退を改めて否定した。値上げは継続モデルではなくモデルチェンジのタイミングで行うべきだという考えも示した。
Nothing Technology Japanの黒住吉郎マネージングディレクターは9月24日、フラッグシップヘッドフォン「Headphone (1) Pro」の発表会後に記者の質問に答え、同社の経営を巡る一連の報道について「経営危機というレベルではない」と述べた。日本を含む市場からの撤退についても「基本的には撤退しない」と改めて否定した。
Nothingを巡っては、インドのIT系メディアDigit.inが7月24日、日本や中東、欧州の一部を含む12以上の市場から撤退し、全世界で従業員の40%を削減すると報じた。共同創業者のアキス・エヴァンゲリディス氏は翌日、市場の閉鎖を否定し、削減の数字は大幅に誇張されていると反論した。一方で、国別の体制を地域ハブに集約する組織再編と、それに伴う人員削減があったことは認めている。
「できるだけ素早く反応する」段階にある
黒住氏は報道の背景にメモリ価格の高騰があると説明した。他社と同じようにメモリ高騰の影響を受けているが、日本はほとんど影響を受けておらず、影響が出ているのはそれ以外の市場だという。その上で「経営危機というレベルではなくて、どちらかというと起きていることに対してできるだけ素早く反応する」段階にあると話した。
素早い反応の例として挙げたのが、サブブランド「CMF」の切り離しだ。Nothingは2025年9月に、CMFをインドに拠点を置く独立子会社にすると発表していた。カール・ペイCEOは9月21日、さらに一歩進めてCMFをインド資本が過半を持つ独立企業にすると発表した。黒住氏はこれを「インドで考え、インドで開発し、インドで作って、インドを軸にしてグローバルに出していく」ための体制で、資本もNothing本体から切り離すものだと説明し、小さなスタートアップだからこそ、直面している危機に素早く反応していると強調した。
メモリ高騰は「携帯電話の時代から考えたら」最大レベル
黒住氏は、今回のメモリ高騰をスマートフォン業界にとって過去最大級の逆風と見ている。過去にはQualcommのチップの供給問題で半年分が丸ごと飛んだことや、5年ほど前に一部の部品がスマートフォン以外も含めて足りなくなったことはあったが、これほど部品がなく、価格が上がった経験はないと振り返った。
影響の受け方はメーカーによって異なるとも指摘した。メモリを自社で持つサムスン電子、ハードウェアが本業ではないGoogle、顧客基盤を持つAppleは影響を受けにくい。一方でNothingのようなスタートアップは影響を受けやすく、日本でも価格を上げた他社があるように、その点は「仕方がないところ」だと述べた。
段階的な値上げは日本では受け入れられにくい
価格改定について黒住氏は、グローバルでは一部実施しているが、日本では積極的には行っていないと説明した。メモリ高騰を想定した価格設定をしていたためで、「Phone (4a)」「Phone (4a) Pro」は前の世代より高い価格で投入したという。日本で発売したPhone (4a)は5万8800円からで、前モデルの「Phone (3a)」より4000円高い。
発売から1年以上たったフラッグシップモデルは価格がこなれており、あえて上げる必要もないという。廉価モデルの「Phone (3a) Lite」は、Nothingの直販価格4万2800円は変えていないが、取り扱う楽天モバイルが5月に独自の販売価格を3万2890円から3万5900円に改定した。
シャープやFCNTは価格改定を「モデルチェンジのタイミングで」行っており、黒住氏自身もその考え方に近いという。継続販売中のモデルを段階的に値上げする手法は日本のユーザーに受け入れられにくく、「それを唯一やっていたのがApple」で、Appleに対しても批判が強かったと指摘した。値上げをするなら次のモデルで行うのが「本来ならそうやるべき」という考えだ。
Nothingは4月、2026年はフラグシップモデルを出さず、Phone (4a)シリーズを主力にすると説明していた。前のフラグシップ「Phone (3)」は、「Phone (2)」から2年空けて2025年に投入し、日本では8月に発売した。次のスマートフォンについて黒住氏は「まだ言えない」と答えた。ハイエンドモデルは2026年中出ないのかと重ねて問うと「これまでのパターンに近い形にはなっている」と述べた。
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