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GMOインターネットの情報漏えい事案で総務省が業界団体に「ブロッキング要請」との報道 NTTは動いた?

GMOインターネットの情報漏えい事案を受けて、総務省が通信関連の業界団体に「ブロッキング」措置を講じるように要請したとの報道があった。これを受けて、NTTはどのような受け止めをしたのだろうか。決算会見での質疑を見てみよう。

 既報の通り、GMOインターネットが10月21日、FX(外国為替証拠金取引)の自動売買に特化したVPS(仮想プライベートサーバ)サービス「お名前.com デスクトップクラウド」において第三者による不正アクセスが発生したことを発表した。本件を巡っては、攻撃者らしき人物から顧客情報の公開とランサムウェア攻撃を実行するとの予告があった。

 一部報道によると、本件に関連して総務省が電気通信事業者協会(TCA)など4つの通信関連の業界団体に対して、攻撃者のインターネット通信を遮断する措置(いわゆる「ブロッキング」)を「要請」したとの一部報道があった(関連の総務大臣会見)。

 そんな中、NTTは11月4日に2026年度第2四半期決算説明会を開催した。この会において、同社の島田明社長がこのブロッキングに関する質疑に応じた。

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質疑に応じる島田社長

そもそも「ブロッキング」とは?

 日本国憲法では、第21条第2項で出版物などの検閲(事前審査)の禁止と、通信の秘密の順守を定めている。後者については電気通信事業法の第4条にも盛り込まれており、同法の第179条では通信の秘密を“漏えい”した場合の罰則も規定されている。

 ブロッキングは、特定の通信先(または通信内容)について、強制的にアクセスを遮断する措置のことを指す。仕組み上、ブロッキングはインターネット回線の利用者が“どこに”アクセスしようとしているのか把握する必要があるため、一義的には通信の秘密を侵害する行為とみなされる。

 ただし、総務省では児童ポルノサイトのブロッキングに限り、刑法第37条に定める「緊急避難」として違法性の阻却(≒刑罰の免除)が可能であるとの整理をしている。


日本で唯一行われているのが、児童ポルノサイトに対するブロッキングだ。ブロッキングに当たっては、警察庁からの委託で業務を行っている「インターネット・ホットラインセンター(IHC)」が「インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)」に通報リストを提出し、ICSAが児童ポルノであるかどうかの妥当性を判断し、妥当だと判断された場合に「リスト」という形で通信事業者などに提供する形を取っている

 一方で同省は過去に、マンガの「海賊版サイト」や、日本では違法となる「オンラインカジノ」に対するブロッキングも検討した。しかし、これらは緊急避難としてのブロッキングを実施する根拠に乏しいことから、制度化は見送られた。

「ブロッキング」の実施は根拠が明確でないと訴訟リスクもある

 海賊版サイトのブロッキングについては、NTTがグループとして“緊急措置”という扱いで実施する方針を示したこともある。当時の総務省における議論では、ブロッキングへの反対や懸念を示す意見が相次いだ。そんな中での表明だったので、驚きのニュースではあった。

 この際に、「ブロッキングを実施することで、NTTのグループ企業に訴訟リスクが発生するのでは?」との懸念も挙がった。その通り、埼玉県の弁護士がNTTコミュニケーションズ(現在のNTTドコモビジネス)を相手取り、ブロッキングの差し止めを求める訴訟を起こしている。

 結局、海賊版サイトが閉鎖に追い込まれたことなどから、NTTグループにおける海賊版サイトへのブロッキングは実施されなかった。そのため、訴訟も「請求棄却」という形で終わっている。

NTTはブロッキングの要請を受けたのか?

 GMOインターネットの不正アクセスに対するブロッキングは、過去の議論を踏まえると日本国憲法や電気通信事業法で保護されている「通信の秘密」を侵害してまで実施する理由に乏しいと考えられる。その観点から、複数の報道関係者が島田社長に報道に対する見解を聞いていた。


―― GMOインターネットでの不正アクセスに関連して、攻撃者のウェブサイトへのブロッキング要請というものが総務省から出されたという報道があります。今後も個人情報や企業の情報などがWebサイトにさらされて脅迫されるということは今後も起こり得ると思うんですが、ブロッキングの意義や必要性についてどうお考えか、お聞かせください。

島田社長 (GMOインターネットの情報漏えい事案は)現在進行中の案件なので、コメントは控えさせていただきます。

 ブロッキングというのは、「利用者保護」と「通信の秘密」の両方を成立させないといけない案件です。そういう意味では、今まで(実施されているのは)「緊急避難」に定義されている児童ポルノぐらいで、海賊版の漫画サイトですとか、(オンライン)カジノの話とかは、(ブロッキングによる)対処がなかなか難しいということで来ております。

 そういう意味では、やはり緊急避難のガイドラインの整備ですとか、それから究極的には法制化を進めていただくことが重要だと考えています。政府には、そのように働きかけていきたいと思います。

―― (先のブロッキングに関する質問の確認)ブロッキングについて、「究極的には法制度を求める」という話をされていましたが、これは(報道にあるような総務省からの「要請」は)法制化がされていない状況だと対応が難しいということなのでしょうか。

島田社長 最終的に法律にするかっていう点ですが、例えば今までのケースであれば、児童ポルノについてはガイドラインで「緊急避難だ」っていうふうに認められていますので、そういう“仕組み”作りが必要だと考えています。

 「最終的に法律の改正をしなくてはいけないのか?」というと、ちゃんと(国と通信業界で)コンセンサスを作る必要があると思います。できれば(こういう事態を)想定して(何らかのルールを)事前に作っておく必要はあると考えます。

―― ブロッキングの件ですが、総務省から御社宛に「要請」があったのかどうか、また実際にブロッキングを実施したのかどうか確認をさせてください。

島田社長 ノーコメントです。


 このように、NTTはネット上の攻撃者に対するブロッキングを実施する場合に、しっかりとした“根拠”を整備すべきという立場に立っている。根拠の大切さを説いているのは、過去の経緯もあってのことだと思われる。

 通信の秘密は、日本国憲法第21条で定める「表現の自由」において重要な要素の1つである。高度化する「攻撃」に対して、ブロッキングは防御手段としてある程度の効果は期待できる。その反面、表現の自由を“制限”してでも進めるべきことなのかと言われると、疑問がないわけでもない。

 ともあれ、ブロッキングの是非、そしてやる場合の規定は“厳格に”話し合うべきだろう。

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