新世代Windowsケータイ「HT1100」に込められたドコモの思いとは開発担当者に聞く「HT1100」

ドコモから登場したHTC製Windowsケータイ「HT1100」。いち早くスマートフォンを世に送り出してきたドコモが、満を持して発売したHT1100には、一体どんなメッセージが込められているのか。開発担当者に話を聞いた。

» 2008年06月13日 10時00分 公開
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photo Windowsケータイ「HT1100」

 NTTドコモから、Windows Mobileを搭載したHTC製スマートフォン「HT1100」が発売された。今でこそスマートフォンというと他キャリアから出ている端末をイメージしてしまうが、ドコモはモトローラ製の「M1000」など、携帯電話とPDAを融合させた製品をいち早く登場させている。

 また、HT1100と同じHTC製の「hTc Z」や、米国でブレイクした「BlackBerry」もメーカーブランドで展開。現在のスマートフォンブームの素地となる取り組みを進めてきた。そのドコモから満を持して登場した「HT1100」は、これまでのスマートフォンとはひと味違ったスリムでコンパクトなボディを持ち、“ケータイ”ライクなスタイルを実現した端末だ。

 まさに、Windows Mobileを搭載した携帯には「Windowsケータイ」という愛称も付けられ、これまでの端末とは違った可能性、ニーズに応えることをアピールしている。今回、HT1100の商品企画を担当したNTTドコモ プロダクト部第四商品企画担当 市川一興氏に、開発背景を聞いた。

――HT1100はどういった端末ですか。

市川氏: Windowsケータイの1100シリーズは、「F1100」が法人需要に軸足を置き、「HT1100」はコンシューマ市場に軸足を置いています。具体的に想定しているユーザー層は、すでに1台目の携帯電話をお持ちで“さらに一歩進んだPCメールやWebサービスを、モバイル環境で使いたい”というコンシューマで、使い方はビジネスで使うも良し、プライベートで使うも良しと、様々な使い方が想定されます。これまでのドコモのスマートフォンは主に法人向けだったため、キャリアショップなどでは入手できませんでした。HT1100は、もっと手軽にWindowsケータイの魅力を感じられるので、よりコンシューマのお客様に使っていただきたいと考えています。

photophoto 液晶をスライドさせるとダイヤルキーが現れる。ボタンのWindowsマークなど、一部にWindowsケータイらしさがあるが、一見すると普通の携帯電話

――ハード的にこれまでのWindowsケータイと違う面はどこでしょうか。

市川氏: これまでのWindowsケータイは、片手でスタイラスを持って、もう片方の手で本体を持つ。と、両手で使うデザインが一般的でした。これはこれで便利ですが、一般のユーザーに使っていただくために、“ケータイ”らしく片手でも操作しやすいようにしました。一般の携帯電話と同じように使えます。

photo HT1100の待受画面(HTC Home)。標準のWindows MobileのToday画面と比べて大きく時計を表示し、未読メールや不在着信もここからかんたんにアクセスできる。タブを切り替えれば天気予報やランチャー、着信音選択の画面もすばやく表示できる

 またHT1100は、ディスプレイに直接触れて操作できるタッチパネルを採用しています。タッチパネルを活用していかに片手で操作できるか、という点を解決したのが「Touch FLO」です。Windows Mobileが標準で搭載するインタフェースに加え、ディスプレイをなぞることで電話画面やランチャー画面を表示できるTouch FLOを採用したことで、従来のケータイにはまねできない使い勝手を実現しました。

――Touch FLOは確かに便利そうですね

photo ちょうど親指の位置にドコモのロゴがあり、ここから上に滑らすことでTouchFLOが起動する

市川氏: 指を画面の下から上にスライドさせることでキューブ型の画面が現れ、連絡先やマルチメディアの起動、ランチャーといった機能を提供します。これによって親指で快適に操作できるようになりました。

 画面下のドコモのロゴから上に向かって指を滑らすようにするとうまく動作します。このロゴの配置はデザインを検討した結果たまたまこの位置になったのですが、Touch FLOの使い方を説明するときに、良い目印になるんです(笑)。

 Touch FLOで表示されるタイルメニューは、6分割や3分割になっています。この画面のタイル数はもっと増やすことができたのですが、使い勝手を考えてこの分割数にしています。

photo Touch FLOのランチャー画面。これは画面を6分割している。親指で操作しやすいようにアイコンも大型だ

――その他に、使い勝手にこだわった部分はどこでしょうか

市川氏: 例えばWebサイトを見ている時に、普通はスクロールバーをスタイラスペンで操作しなければなりませんが、Touch FLOだと画面を指でなぞるだけでスクロールできます。このように、Windowsケータイではありますが、なるべくスタイラスを使わずに、片手で使えるように配慮しました。

 さらに独自機能として、マナーモードと公共モード(ドライブモード)をダイヤルキーに追加しました。ドコモブランドで発売する以上、この機能は必須になります。これまでメーカーブランドで販売してきたスマートフォンとは違うことをメーカーさんにお話し、2つのキーの追加をお願いしました。

photo ボタンの[*]キーと[#]キーにあるのがマナーモードと公共モード(ドライブモード)。長押しで動作するなど、ケータイらしい使い勝手になっている

――なるほど、「HT1100」はドコモブランドとして販売されるのですね

市川氏: ドコモとしては、スマートフォンとして2005年5月に“ビジネスFOMA”「M1000」を発売していて、この分野では他社よりも早くから取り組んできました。その後も「BlackBerry」や「hTc Z」などを発売していますが、これらはメーカーブランドの端末で、かつ法人向け。オンライン購入は可能でしたが、一般のドコモショップでは取り扱っておらず、個人で買って使うタイプの端末ではありませんでした。

 一般の方からもスマートフォンを求める声は以前から多く寄せられていたこと、また、スマートフォン市場が伸びてきたことから、今回HT1100を投入する運びになったのです。もちろん、WindowsケータイですからExchangeサーバーとの連携もできますので、法人需要も見込んでいます。

――WindowsケータイなのにQWERTYキーボードがないのは、思い切っています

市川氏: スマートフォンというとQWERTYキーボードを搭載するというイメージがありますが、一般のお客様に使っていただくために検討した結果、タッチパネルとダイヤルキーのみの採用となりました。“QWERTYキーボードをなくす”ということについては、社内でも議論がありましたね。

 とかくWindowsケータイを利用される方は、法人のお客様や男性のイメージが強いですが、それだけではなく利用層は幅広くなっていますので、最近は、Windowsケータイを使ってちょっとした時間にブログを更新する女性ユーザーも多くいらっしゃいます。なるべく“普通のケータイ”らしいデザインで、Windowsケータイを活用していただきたい。QWERTYキーボードの搭載を見送ったのは、そうした意味もあります。

――ボディカラーはホワイトとブラックの2色ですね

市川氏: 本体カラーを、ドコモのスマートフォンとしては初めて2色展開にしてホワイトカラーを導入したのもユーザー層の拡大を考えたからです。ボディもなるべく小さく、コンパクトになるようにしました。性別や年齢を問わず、ビジネスだけでなくプライベートでも、オン/オフどちらでも活用できると思います。

――開発中にご苦労された点などありましたか?

市川氏: 苦労というより、新たに考えることが多くなりました。例えば、Windowsケータイはデータ通信が多くなるので、そうしたユーザー様向けには高速なHSDPA通信が必須でしたが、さらにドコモとしてプラスエリアへの対応をメーカーに求めました。都市部ではあまり関係ありませんが、ルーラルエリアでの通信環境に配慮すればプラスエリア対応は当然です。

 また、Windowsケータイはオープンな環境なので、今後ウイルスが登場してくる懸念があります。ウイルススキャンソフトをプリインストールすることで、ユーザーに「安心・安全」を提供しています。

 もっと細かい部分ですと、端末の下部にある端子にカバーを付けたことでしょうか。むき出しですとホコリがたまってしまい、故障の原因になってしまいますので、ドコモ向けにカスタマイズしています。

 充電にはUSB端子を使いますが、これまでのユーザー様がお持ちのFOMA用充電器が使えるように変換コネクタも付属しています。また、かつて他の端末を発売した際に、「自宅と会社の双方で充電するために、変換コネクタが2つほしい」という要望が寄せられたことがあります。HT1100ではこの経験を踏まえて、変換コネクタを2つ同梱しました。

――サポート体制などは、通常の音声端末と一緒ですか?

市川氏: メーカーと協力してキャリアショップやコールセンターでの勉強会を実施し、操作説明のサポートをしたり、分りやすいツールを設置したりして、普通のケータイと同じようにショップなどで保守ができるようにサポート体制を整えています。

 様々な調整を重ね、満を持して発売となりましたので、お客様には思う存分使っていただければと考えています。

――ありがとうございました。


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提供:株式会社NTTドコモ
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年7月10日