10周年を迎えた「arrows」ってどんなスマホ? これからどうなる? FCNTの“中の人”が語るarrows先生が聞く(2/3 ページ)

» 2022年03月17日 10時00分 公開
[arrows先生PR/ITmedia]
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arrowsの現在:「頑丈」「洗える」は言うほど簡単ではない

主な語り手

中窪さん 中窪康治さん

中窪康治さん FCNT株式会社 プロダクト&サービス事業本部 事業戦略グループ プリンシパルプロフェッショナル。富士通のFOMA初号機(FOMA F2611)から携帯電話端末のハードウェア開発に従事しており、この2022年1月までarrowsのハードウェア開発にも携わっていた。今回は、スケジュールの都合でオンライン参加となった。


arrows先生 現在のarrowsは「頑丈さ」を結構プッシュしていますよね。頑丈さに着目したのは、何か理由があるのでしょうか。

山田氏 元をたどると、2015年あたりから「傷が付きにくい」ということを強くアピールし始めました。頑丈さにつながるルーツはそこにあります。

 先ほども言った通り、大切なのはお客さまの視点です。スマホユーザーが持っている潜在的なニーズはないかと模索していたある日、画面がバキバキに割れたままスマホを使っている人が少なからずいることに気が付きました。SNSを見ると「すごく高いスマホを買って店を出た直後に画面を割っちゃった」なんて声も見かけました。

 当時、お客さまから「衝撃に強いスマホが欲しい」「画面が割れにくいスマホが欲しい」といった明確なニーズは多いわけではありませんでした。しかし「せっかく買った端末はできるだけ壊れずに使い続けたい」というニーズは、潜在的に必ず存在すると思っていました。

 傷の付きにくいarrowsが一定の好評を得られたことから、arrowsのブランドにとって大きなプラスになると考えて、頑丈さの向上に取り組むことにしました。

arrows先生 頑丈なarrowsのルーツは、2016年12月に発売された「arrows NX F-01J」ですよね。今だからこそ言えますが、高性能なSoCを積んでいるとかメインメモリやストレージの容量が大きいとか、いわゆる「ハイスペック」じゃなくて残念だった反面、薄型ボディーながら「MIL-STD-810G(旧MIL規格)」に準拠するタフネスさに驚いた記憶があります。「薄くて頑丈」って、ある意味で矛盾することだと思うのですが、どのように実現したのでしょうか。

中窪氏 山田がF-01Jの企画書を持ってきたときは、正直いって「ふざけんな」って思いましたよ。「何を言っているんだ?」と。社内でも「本当にそれをやるのか?」ともめた記憶があります。「やってもいいけれど、ゴツゴツになっちゃうよ」と。でも、山田たち企画担当は「普通の見た目で、画面の割れにくい頑丈なスマホ」と譲らないわけです。設計担当からすると、ますます「何を言ってるんだ?」ってなるわけです。

 ただ、(FCNTのルーツである)富士通にはもともと、技術的に難しいことにチャレンジする社風があります。“技術魂”に火が付いて「やってやろうじゃないか!」となって、デザイナーとも話をしながら「細マッチョ」をキーワードに開発を進めました。

 ただ、どうやればいいのか誰も分からなかったので、解析なども含めて試行錯誤を繰り返した結果生まれたのが「SOLID SHIELD(ソリッドシールド)」というボディー構造でした。そしてそれがF-01Jとして世に出ることになります。

F-01J arrowsの新たな価値であるタフネスさを手に入れた「arrows NX F-01J」

arrows先生 F-01Jをルーツとして、arrowsのタフネスさはどのように進化してきたのでしょうか。

中窪氏 一番分かりやすい所ではガラスの周囲ですね。

 当初はガラスの縁をコンマ数mm高くすることで割れづらくしていました。しかし、見た目が古くなってしまうのと、(スワイプ操作などで)どうしても出っぱりが気になるという問題点があります。私たち設計サイドはもちろん、デザイナーもどうにかしたいと考えていたので、段階的に縁を低くしていきました。

 その積み重ねで、2019年夏モデルの「arrows Be3 F-02L」では縁を完全に引っ込めました。重量も150gを切りました。F-02Lには、私としても思い入れがあります。そして2020年冬モデルの「arrows NX9 F-52A」では、画面に曲面ガラスを採用しながらも、特に耐落下性能の基準が高くなった「MIL-STD-810H(現行のMIL規格)」に準拠しています。

 先ほど山田も言っていましたが、画面がバキバキに割れてしまったスマホを使っている人を私もよく見かけます。そういうことを少しでも減らせたら、開発者冥利に尽きる所です。

arrows先生 最新の「arrows We」も、結構頑丈なんですよね。

中窪氏 そうです。F-52Aと同様に、最新のMIL-STD-810Hに準拠した耐衝撃/耐環境性能を確保しています。

F-02L 画面側の縁をフラットにしながらも、タフネスさをしっかりと確保した「arrows Be3 F-02L」

arrows先生 最近のarrowsといえば、丈夫さに加えて泡ハンドソープで洗えることアルコール消毒に対応していることもアピールしていますよね。これも結構大変なことではないでしょうか。

中窪氏 もちろん大変です。

 arrowsで初めて洗えることを打ち出したのは、2017年7月に発売されたSIMフリーモデルの「arrows M04」でした。アルコール除菌は、M04の少し前にリリースした法人向けモデル「ARROWS M357」が対応していましたが、コンシューマー向けモデルではF-52Aから本格的に対応しています。

 山田の言葉を借りれば、ニーズを捉えてすぐにやってみるという観点では取り組んで正解でした。新型コロナウイルス感染症がここまで拡大するとは思っていませんでしたが……。

arrows先生 洗えることやアルコール消毒対応は、防水と比べると大変なんですか。

中窪氏 洗えるという観点では、界面活性剤を始めとする洗浄成分が装置内部に浸入することを防ぐことや石けんをしっかりと洗い流せるようにすることが重要です。特に界面活性剤の浸入を防ぐことはかなり難しいです。“ヤツ”は本当に精密機器にとって世界最強で厄介なんです……。汚れを落とすというのは、本当に強力な作用なんですね。

 一方で、アルコール消毒への対応は、ボディーの素材、コーティング剤や塗料への配慮が必要です。無対策だと、耐久性の面で問題が生じる可能性が高まります。

arrows先生 ということは、洗えるようにするには防水構造も結構念入りにする必要があるということですか。

中窪氏 そうですね。ただ、弊社の場合は今までボディーの防水/防塵(じん)の設計をしっかりやってきましたので、ひと工夫を加えることで実現できています。

F-52A 画面に曲面ガラスを採用しつつも、より高い耐衝撃/耐環境性能に準拠した「arrows NX9 F-52A」。本体洗浄に加えてアルコール消毒にも対応している

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2022年3月23日