J-フォンの3Dポリゴンはいかにして誕生したか――moobidec 2001

J-フォンに採用された3Dポリゴンの技術は,女性がPCの上に置いた一体のぬいぐるみから始まった。

【国内記事】 2001年8月30日更新

 8月30日まで台場のホテルで開催されたmobidec 2001において,エイチアイの川端一生社長が講演を行い,同社の3Dポリゴン技術について語った。

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「3Dポリゴンの発表の時は,新聞に社名が載らずがっかりした」

 “うららが踊る”で有名なJ-フォンのJavaだが(3月15日の記事参照),実はこの3Dポリゴンを開発したのがエイチアイだ。開発の経緯について川端社長は,「女性がPCの上に人形を置いたりしているのを見て,これをPCの中に置いてみたいな……と考えた」と語る。

 PCのデスクトップに,かわいい3Dのマスコットキャラクターを常駐させたい。ただしCPUやメモリなどのリソースはなるべく食わないように。同社は3Dポリゴンを滑らかに動かすよう試行錯誤を繰り返し,ノウハウを蓄積した。「『エイチアイさんになら(当社キャラクターの)ポリゴン動画をつくってほしい』と言われ始めた」(川端社長)。そんなころちょうど,「このポリゴン動画を携帯電話に入れられないか」という話を持ちかけられたのだと言う。

 これを受けて同社は3Dエンジンをより縮小。CPUが10MHz以上,メモリが32Kバイトあれば動作するというまでに,サイズを小さくすることに成功した。

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縦横回転,拡大縮小も思いのままの3Dポリゴン

3Dアニメのデータは2Dより小さい

 同社が挙げる3Dポリゴンの利点は,“圧倒的な存在感”とPC時代から培われた秒間平均15フレームを実現する“滑らかなアニメーション”など。さらにデータサイズは「実は2Dアニメーションより小さい」という。

 「2Dアニメーションということはパラパラマンガだから,すべての絵を人間が描いている。しかし3Dはコンピューターが『そう見えるはずだ』という画像をその都度作りあげるわけで,30フレームのアクションで大体1〜2Kバイトとデータが小さい」(川端社長)

 今回,J-フォンのJavaアプリでは音とアニメを連動させる機能はカバーされなかったが,同社は既にPCでこれを実現している。「携帯電話ではうるさいかと思って音声は出ないようにしたが,今後携帯電話の3Dアニメに音声を連動させる可能性もある」(川端社長)。

 今後の展開としては,3D技術の普及を目指して500ポリゴンまでのCGを作れるコンバータをフリーで提供する。501ポリゴン以上のCGを作れるコンバータは,シェアウェアとして2000円で販売を行っていくという。

 なおこのコンバータを利用しても,現在のところ個人が勝手に制作したコンテンツをJ-フォンの端末上で動作させることはできない(6月21日の記事参照)。しかし川端社長は個人レベルの3D動画について「携帯電話で動作が実現すれば面白いだろう」としめくくった。

[杉浦正武,ITmedia]

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