インフラではなく新しいサービスが3G──KDDI

第3世代携帯電話サービスを延期したKDDIの技術企画部長が,WORLD PC FORUMのパネルディスカッションに登場。「インフラではなくサービスこそが3G」と力説するが……。

【国内記事】 2001年9月21日更新

 FOMAの本格サービス開始を直前に控え,KDDIがCDMA2000 1xのサービスを延期。微妙なタイミングで,第3世代携帯電話への展望と課題についてのパネルディスカッションが,幕張メッセ「WORLD PC FORUM 2001」で9月21日行われた。

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WAP2.0および第3世代携帯電話に関するキーとなる会社から6人が出席。左からACCESSの荒川亨社長,NTTドコモのiモード事業本部iモード企画部長,夏野剛氏,KDDIのau事業本部au技術本部技術企画部長,沖中秀夫氏,J−フォンの経営企画部長,Peter Barry常務,Nokia Mobile Phones Asia Pacificの戦略マーケティング担当副社長,Nigel Rundstrom氏

CDMA2000 1xを延期するKDDIだが……

 「今日はタイミングがいい日ではない」と切り出したのはKDDIの沖中氏。KDDIは既報の通り,次世代携帯電話「CDMA2000 1x」のサービスを2002年4月に延期したばかりだ(9月20日の記事参照)。

 しかし沖中氏は続けて,「言い訳ではないが,みんな“3Gイコール,インフラの改革”に凝り固まっている」と語る。KDDIはインフラであるCDMA2000 1xは延期するが,本当に重要なサービスについては先駆けて提供するというわけだ。沖中氏が指すのは,12月から開始するWAP2.0を中核とした動画配信,位置情報などの各種サービス。

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 3Gで提供予定のサービスを,まずは現行のインフラで提供し,来年4月のCDMA2000 1xの提供時には内容をグレードアップさせる……というのがKDDIの戦略だ。

KDDIの視点はコスト

 「インフラが変わるから3Gなのではなく,新しいサービスを安く提供できることが3G」。沖中氏が,そう語るようにKDDIの方向性は明確だ。視点はコストにある。

 いち早くFOMAサービスを開始するドコモでも,その料金体系に関しては不満の声が多い。現行のiモードの料金体系に比べると安価だが,謳われていた“リッチコンテンツの受信”を行うにはまだまだ高いからだ(9月5日の記事参照)。

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 沖中氏は,第2世代携帯電話の料金体系ではカラオケデータのダウンロードで60円,短時間の動画でも170円,MP3などの楽曲を1曲ダウンロードすると1万円も料金がかかることを指摘。「3Gとは何か? この1万円を下げることが1つの目的」と語る。

 KDDIのWebサービス「EZweb」は現在14.4Kbpsで提供されている。沖中氏は「現状のサービス内容なら速度は十分」と言い切る。3Gで通信速度は大幅に向上するが,「(速度向上は)あくまで時間の短縮。ではコストはどうか?」(沖中氏)

 W-CDMAという電話システムを拡張した方式を採用するドコモやJ−フォンとは違い,KDDIがCDMA2000 1xの次に予定しているのは,「CDMA2000 1x EV-DO」だ。CDMA2000 1xEV-DOではデータ通信に特化しており,電波状態によって速度は大きく変化するが低価格を実現できる(7月30日の記事参照)。「CDMA2000 1x EV-DOを入れることで初めてコストが下げられる」(沖中氏)

 CDMA2000 1x自体は延期になったものの,12月にはWAP2.0,gpsOne,動画配信,Javaフェイズ2,64KbpsのEZwebと多くの機能を搭載した端末が登場する。KDDIの“新サービス”は果たしてFOMAに対抗できるだろうか。

[斎藤健二,ITmedia]

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