迷惑メールはなぜ届く?──キーワードは“名簿”

名簿の陳腐化が対策の目的

 完全な名簿が迷惑メールの送信に利用された場合,通信キャリアは何も打つ手がない。「通信の秘密」により,メールの内容をチェックして“迷惑メールかどうか”を調べることはできないからだ。

 そこでドコモが打ち出した対策が“名簿の陳腐化”である。今回の会見でもこの言葉は何度も飛び出し,いかに名簿を作成しにくくするかが重要かを強調していた。

 「大量の宛先不明メールをiモードセンターでブロックする」という施策も,名簿の陳腐化が目的の1つ。通常は誤った宛て先のみが「宛て先不明」として返信されるが,今回のブロックでは正しい宛て先も一括して「送信エラー」として返される。そのため迷惑メール送信者は,どの宛て先が実在のものかを判別することができず,名簿も作成できなくなる。

 「(現在,宛て先不明として返信されている)8億通に対して,送信エラーを返し,名簿の陳腐化を図りたい」(榎氏)

迷惑メールによる設備の負荷も問題

 迷惑メールの被害はユーザーだけでなく,通信キャリアも被っている。

 ドコモが公開したインターネットからのメール受信件数によると,1日当たり平均でインターネットからiモードに向けて送信されるメールは約9.5億通。うち,正常のメールや一部の迷惑メールなどユーザーに届くのはわずか1.5億通だ。約8億通は“実在しない宛て先”へのメールであり,多くは迷惑メールによるものと推定される。

 iモードセンターでは,この1通1通に関して“実在する宛て先かどうか”のチェックを行っており,膨大な処理が発生している。「設備的に大きな負荷がかかっている。最悪の場合,iモードセンターがダウンしてしまう」(榎氏)

 最近では,J-フォンがインターネット経由のメールの遅延の理由として,「大量の迷惑メールが原因」と発表している(10月5日の記事参照)。通常のメールの5倍以上の迷惑メールが送信されたら,これまでの推計に基づいたサーバ設備ではもたないのは容易に想像できる。ドコモでも「1日10億通なら大丈夫だと思うが,そのあたりがギリギリ」(榎氏)としており,このままのペースで迷惑メールが送信され続けると,早晩設備が耐え切らなくなる。

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ドコモが公開したインターネットからのメール受信件数月別推移(1日あたりの平均値)。7月には4億通少々だったメールが,10月には9.5億通と倍増しているのが分かる。しかもユーザーに届いたメールはそれほど増えておらず,ほとんどが“実在しない宛て先”へのメール送信だ

無料サービスにも注意を呼びかけるドコモ

 会見の最後に,ドコモの榎氏は「メールアドレスを登録すると着信メロディが無料でもらえます,というのはリスクだ」と,メールアドレスの流出を警告した。

 多くのサイトは,マーケティングなどの目的からユーザーのメールアドレスを収集している。それらすべてが“迷惑メールの名簿”として流用されるわけではないが,そのリスクがあることは間違いない。

 最後にもう1つ。一度迷惑メールを受信してしまったら,それは“迷惑メールの名簿に掲載された”ということでもある。その後,迷惑メールが増加するのは間違いないだろう。ドコモでも,更なるメールアドレスの変更を勧めている。

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[斎藤健二,ITmedia]

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