ドコモのスパムメール対策,「らくらくホン」より「らくらくスパムメール拒否」を電話番号形式のアドレスが本当に悪人だったのか?NTTドコモはスパムメール対策として電話番号形式(電話番号@docomo.ne.jp)のアドレスを止め,オリジナルメールアドレスの利用を推進している。これは確かにスパムメール対策としての効果は大きかったが,電話番号さえ知っていればiモードメールが送れるという手軽さは失われてしまった。実際電話番号形式のアドレスの方が便利だったと主張する人,は多い(6月29日の記事参照)。 電話番号形式のアドレスと同様の問題をかつて抱えていたのが大手ISPである@niftyだ。ユーザーが任意のメールアドレスを設定できるほか,パソコン通信時代からのユーザーはID形式(3桁のアルファベット+5桁の数値@nifty.com)のメールアドレスでメールの送受信が可能だ。ID形式は電話番号と同じで規則性がはっきりしているため,スパムメールのターゲットになりやすい。 iモードメールほどではないが,@niftyユーザーへのスパムメールも一時期はかなりの数に上った。そこで@niftyではユーザーの利便性を失わないよう,以下のようにスパムメール対策を行った。
ID形式とオリジナルメールアドレスは,iモードメールの電話番号形式とオリジナルメールアドレスと似たような関係にある。しかし@niftyが異なるのは,両方のメールアドレスが有効で,かつID形式でインターネットから送られてきたメールだけ受信拒否できることだ。これはiモードメールでいえば,iモード間では電話番号形式のアドレスもでメール送受信が可能だが,インターネットからのメールは受信拒否するということに相当する。 アドレス単位での受信拒否も詳細な設定が可能だ。メールアドレスの一部を指定できるだけでなく,例外が設定できる。例えばメールアドレス末尾が「ne.jp」を受信拒否するが,「so-net.ne.jp」は許可する,といった設定ができる。もっと具体的なスパムメール対策なら,スパムメールの多くはjpドメインではなく「com」や「net」といったドメインから送信されてくるので,「.com」メールは受信拒否するが,「nifty.com」は例外的に受信を許可するといった設定をすればいいわけだ。このくらいの設定が可能だとスパムメールの遮断にも大いに役に立つ。 @niftyにこれらのメール受信拒否サービスが追加されたのは1998年4月と1997年11月。iモードサービスが開始される1年近く前の話だ。@niftyでは,それまでのメールサービスの手軽さをできるだけ損なわない形で効果的にスパムメール対策を行っている。iモードサービス開始時にはよいお手本が既にあったのに,NTTドコモはまったく活かすことができなかったといわれても仕方ないだろう。 「らくらくホン」より「らくらくスパムメール拒否」をスパムメールにより悩まされているのは若年層より高年齢層の利用者だろう。最近は高年齢層でも積極的に携帯電話のEメール機能を活用する人も増えたが,メールの送受信はできるが細かな設定などはよく分からないという声をよく聞く。メールアドレスはオリジナルにしたが,それでも届くスパムメールに対しては対策が分からないという人も多い。 iモードメールでドメイン指定での受信拒否が可能になったとしても,それをユーザーが活用しなければ何の役にも立たない。その仕組みが分からずとも便利なツールとしてiモードメールを利用する層にとって,ユーザーに面倒な設定を強要するスパムメール対策は無駄に等しいのだ。もちろんスパムメールに対してユーザーが自衛することは非常に重要なことだが,「自衛したくてもどうすればいいのか分からない,操作が難しくてできない」といった層にも広くiモードメールは利用されている。 こういった点はもちろんNTTドコモだけの問題ではない。しかしブランド力の強いNTTドコモは利用者に高年齢層の比率も高く,より重要な問題と受け止めてほしい。操作のやさしい「らくらくホン」といった端末のプロダクツは非常に素晴らしいと思うが,サービス面でも多くのユーザーにもっと優しくなってほしいと思う。
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