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「将棋アプリ」にひとこと言いたい(2/2 ページ)

「世の中に、携帯の将棋アプリがあふれている。だが、記者が思うようなアプリには、なかなかめぐりあえない」――。これは、ある将棋オタクのぼやきである。

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 通信をしないiモード版森田将棋は、アマ級位者ならまず負けることはないレベル。非論理的な手を指すこともしばしばで、将棋に慣れた人間なら思わず「あちゃー」と言いたくもなるシーンもある。

 サクセスがボーダフォン向けに提供する「開運将棋」もローカルで対戦可能だが、やはり似た傾向。サクサク動く点はうれしいが、“上級者”に設定しても上級者の実力はない。

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ボーダフォン版「開運将棋」

 とはいえ、ローカルでも比較的強いアプリはある。例えばタイトーが提供するボーダフォン版「森田将棋」は、ローカルでもそこそこ強い。

 ただしこのアプリは、思考時間がやや長いという問題を抱えている。対局開始から、「▲7六歩△8四歩▲6六歩」と指しただけでウーン……と考えこんでしまう。1手指すと、数分考え込むこともある。それなりに強いのだが、電車に乗りながら指すと、10分の乗車時間で3手しか進まないこともあるのは、個人的に不満だ。

 強くても考慮時間が長かったり、動作が速いが弱かったりと、なかなかいいアプリがない。記者は、やはり、携帯で将棋はムリだろうか……とあきらめかけた。

なかなか使える「金沢将棋」

 そんな中、いい感触を得たのがアンバランスがau向けに提供する「金沢将棋」だ。通信を行うバージョンと、ローカルで対局できるバージョンの両方が用意されている。このローカルバージョンの方が、なかなか秀逸だった。

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金沢将棋(C)2003 UNBALANCE Corp. (C)2003 株式会社キワメ

 まず、思考時間が短い。早いときは1秒、時間がかかっても数秒しか待たなくて済む。電車に乗っている10分の間に、気軽に1局終わらせられる。

 それでいて、なかなか強い。1級程度の記者との実力関係からして、サイトでうたっている「初段」は言い過ぎの感があるが、それでも上級者の力は間違いなくあるだろう。

 なぜ、金沢将棋が速く、強いのか。関係者に聞くと、どうやらBREWプラットフォームであることが少なからず影響しているようだ。同クラスのCPUを使うなら、Javaに比べてBREWのほうが処理速度に優れるメリットが出た格好だ(ちなみに、記者が使用した端末は「A5504T」)。

 とはいえ、ローカル版金沢将棋といえども、難点はある。その1つが、指す戦法が限られていることだ。

 例えばユーザーが後手を持つと、初手▲7六歩と指してくる。ここでユーザーが角道を通すと、角交換を仕掛けてくる。これは金沢将棋の「お決まりのパターン」らしい。

 ユーザーが先手を持てば、もう少し戦形に幅も出てくる。とはいえ、記者が得意の四間飛車を指すと、必ず△7三桂〜△6四歩と指し、持久戦模様でくる。やや、指し手にランダム性が少ない。

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記者――金沢将棋戦でありがちな展開。左銀を前線に繰り出し、玉頭戦をしかけるのが好きらしい

 家庭用ゲームの将棋ソフトには「対戦するキャラクター」を選択可能で、選んだキャラによって棋風が変わるといった趣向のものもある。似たシステムを、携帯アプリにも導入できないだろうか。

スタンドアロンと通信の融合はムリか?

 今後、登場してほしいのは、より高い次元でスタンドアロンの“速さ”と、通信アプリの“強さ”を兼ね備えたアプリだ。

 例えば、特に深く考える必要のない局面では、スタンドアロンで処理を行う。駒と駒がぶつかる中盤の難所では、通信を行ってじっくり考える――といったアプリはどうか。

 もちろん、どこで通信を行うか判断すること自体、難しいかもしれない。ただし、いくつかのスタンドアロンアプリでは、こちらが好手を指すなどして“困らせた”場合には、先方も考える時間が長くなることが分かる。長く考えるタイミングで、通信を行えばよいのではないか。

 将棋ファンが求めるのは、基本的には「より強いアプリ」。それでいて速さも欲しいなど、わがままばかりいうようだが、携帯の世界でもさらに優れたソフトが登場してくることを期待したい。

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