もしも、携帯がカギになったら――
FeliCa導入によって、携帯はカギになる。その先にどのような生活が待っているのだろうか。FeliCa連動型のカギアプリ開発を手がける、コネクトテクノロジーズに聞いた。
FeliCa導入によって、携帯はカギになる。その先にどのような生活が待っているのだろうか。
早川不動産は10月から、KESAKAシステムの技術を導入して「FeliCaで施錠・開錠」が可能なマンションの分譲を開始する(6月16日の記事参照)。このアプリの開発にかかわったのがコネクトテクノロジーズ(5月25日の記事参照)だ。
同社の取締役 開発部ゼネラルマネージャ、伊藤広明氏と、同事業戦略室ゼネラルマネージャの竹川博之氏に、携帯での鍵サービスがもたらすものを聞いた。
ネットワーク経由でカギのやり取り
FeliCaの非接触ICインタフェースで、ドアの施錠を行うサービスはこれまでも存在した。ただし、それは単なる“カード型”。FeliCa携帯を利用したカギサービスなら、さらに可能性が広がる。
具体的には、ネットワーク経由でカギアプリの受け渡しが可能になる。サーバと連携すれば、「期限付きのカギ」を渡すことも可能だ。
コネクトテクノロジーズの伊藤広明取締役は、鍵の受け渡しにはドコモの「iモードマイボックス」(1月21日の記事参照)を利用すると話す。
「ユーザーは最初に、マスターキーだけマイボックス経由で取りにいく。その後の合鍵の発行などは、弊社のWebサーバと通信すればいい。マスターキーの部分だけは、複製が怖いので(用紙による申し込み手続きなどでセキュリティが強化されている)マイボックスを利用する」
合鍵の発行は、マスターキーを持つユーザーならば、携帯アプリから手軽に行える。合鍵を渡したいユーザーのメールアドレスを入力すれば、サーバ側でハッシュされたURLを該当ユーザーに通知してくれる仕組み。このURLをクリックすれば、カギアプリをダウンロードできるようになっている。
コネクトテクノロジーズは、サーバ側で入退室のログを取得しているほか、ユーザー情報の登録、保存を行っている。これをマンション管理側のシステムと連携させることも可能だ。
携帯を落とすと、どうなる?
もちろん、携帯をカギ代わりにすると「携帯を落としてしまい部屋に入れない」ということも起こりかねない。また、停電が発生した場合もシステムが機能しないのではないかとの不安がある。
同社の竹川博之ゼネラルマネージャは、「まず、停電についてはシステム側で非常用バッテリーを用意している」と話す。
「それもなくなった場合のために、表には見えないが物理的なカギ穴を用意している。カギ屋のポリシーとして、最終的になんらかのかたちでカギを開けられるようにはしている」
携帯を落とした場合も、問題はないと竹川氏。前述のとおり非常手段で入室できるほか、「携帯を拾われて、後で部屋に侵入されるのでは」という心配を払拭すべく、サーバ側で設定変更できるという。
「管理会社に電話して、登録情報を変更し、反映させることになる。物理的に錠前を交換することを考えると、こちらのほうが早い」
「携帯カギ」の先に見えるもの
コネクトテクノロジーズでは、このシステムが単純に「携帯をカギにする」以上の可能性を秘めていると話す。
たとえば、各部屋のドアは携帯と連動するかたちでネットワーク化されている。そのネットワークを利用すれば、「エントランスにカメラを設置して、携帯から確認する」「エントランスに照明を設置し、携帯でオン/オフする」といったホームネットワークも容易に構築できる。
もうひとつ、カギアプリを応用する方法に「地域サービスの広告」がある。カギアプリは、住宅というエリアに不可分な個人情報と結びついている。たとえば、“東京都港区赤坂”に住む住人に、近辺のスーパーで行われているセールの情報を配信することも考えられるという。
「近所のメガスーパーなどと連携して、サービスを提供するイメージ。必ずしも大手である必要はなく、商店街などで利用してもいい」(竹川氏)
伊藤氏は、カギというものは人々の行動パターン・生活に密着していると強調する。「そこに(上記の広告サービスなどの)アライアンスができてくる。この部分が、サービスモデルとして実は大きい」とした。
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