5分で分かる、今週のモバイル事情:7月31日〜8月6日
そろそろ飽和といわれながらも成長を続けてきた携帯電話業界。しかし競争が激化する中、成長に陰りが見えるキャリアも出てきた。ボーダフォンの契約者が7月、初めて減少を記録した。
ボーダフォンが純減
不調がささやかれるボーダフォンが、ついに純減に転落(8月6日の記事参照)。これまで数万契約ながら純増を維持してきたが、7月は3100の純減となった。
右肩上がりで契約者数を伸ばしてきた携帯電話業界では、いかに調子が悪くとも純減は異例のこと。ボーダフォンは「一過性のこと」と話すが、契約者数の伸びは、事業者の成長性を明確に表す数字だけに、不安がよぎる。
グリーン社長の突然の辞任(6月23日の記事参照)に続き社員の17%の希望退職を募るなど(5月25日の記事参照)、社内もなかなか安定しない同社。秋には“3G Convergence”をキーワードに本格的に3G展開を図るが、それまでは苦しい時期が続きそうだ。
動き始めるTD-CDMA陣営
ソフトバンクがTD-CDMA通信方式を使い、携帯電話参入の準備を着々と進めているようだ。全国で1万3000カ所の基地局用地を確保したと明かした(8月4日の記事参照)。単純に比較はできないが、99%以上の人口カバー率を持つFOMAの基地局数が、現状1万2700となっている。
2006年といわれるMNP(番号ポータビリティ)導入が(3月30日の記事参照)、新規参入組にとってのチャンスといわれている。
またしてもFOMAに不具合
契約者数は順調に伸びているFOMAだが、端末の信頼性のほうはいま一歩のようだ。「F900i」に2度目のソフトウェアバグが発生した(8月2日の記事参照)。
ドコモは「iモード以降、チェック項目が数倍になった。万全を期しているが、バグが起きてしまう」とコメント。ソフトウェアアップデートで対処できることから、大きな問題にはなっていないが、ドコモ端末への信頼は揺らいでいる。
“カメラなし”端末の必要性
KDDIが発表した新端末「A1402S II」には、カメラなしモデルも用意される(8月2日の記事参照)。カメラ付きが当たり前になった昨今の携帯電話だが、研究所などでは携帯のカメラが盗撮に使われる危険があるなど、ビジネス用途ではカメラなしを望む声も多い(2002年11月20日の記事参照)。
KDDIは「A1304T」のカメラなしモデルを投入したことがあり(2003年11月6日の記事参照)、ボーダフォンも「V301D」のカメラなしモデルを発表している(7月30日の記事参照)。ドコモは現行ラインアップ中でカメラなしなのは超小型iモード端末「premini」のみ。
さて、来週は?
お盆の時期となり、そろそろ夏休みという読者も多いだろう。
8月9日から20日までお台場メディアージュで、メモリースティックの体験イベント「Memory Stick Planet」が開催される(サイト参照)。
また11日には、ソフトバンクの第1四半期決算説明会が開催される。携帯電話参入に関して、新しいコメントが飛び出るかに注目だ。
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