JR東が「Suica携帯」に求める条件とは?:Interview(前編)(2/2 ページ)
FeliCa携帯で、今後のさらなる普及のカギを握るのはJR東日本の「Suica」だろう。しかし、実現には克服しなければならない多少の課題があるようす。1つは、iモードFeliCaで実現していない“両面読み取り”だ。
実験では、あらかじめ「反対側をかざしても通過できない」旨を告知した上で使ってもらった。試験後のアンケート結果を見ると、「1回以上間違えた」と答えたユーザーが3割に上ったという。
同社ではさらに、実験室レベルでビデオを回しての「利用実態観測」も行った。どちらをかざせば通れるか知らずに端末を持たされたユーザーは、まず任意の側をリーダー/ライターにあてる。そこで改札がバタンと閉まると、今度はもう一度、同じ側で通過を試みる傾向があるという。
「2回やってだめで、そこで初めて反対側を試すという行動をとるようだ」。こうした結果をふまえて、両面読み取りの重要性を再認識している。
「タッチ&ゴー」の呪縛 〜端末強度は大丈夫?
もう1つ、課題になり得るのは端末の強度だ。
JRではSuicaの利用法として「タッチ&ゴー」という標語を掲げている。このため、ユーザーはカードをリーダー/ライターに“ぶつける”くせがついている。「非接触カード技術」であるFeliCaのこと、実際にはカードをかざすだけでいいのだが、物理的に接触させて使うユーザーが大半だろう。
これは、モバイルSuicaの運用を考えた場合に支障になり得る。ある程度の端末強度、そしてリーダー/ライター強度を考えないと、いずれかが破損してしまうおそれがあるからだ。
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JR東日本では、前述の社員向け試験で「端末をリーダー/ライターにどれくらい強くぶつけるか」も調べている。
「大切な携帯を、バッチ―ンと叩きつけるユーザーもいないだろう。接触面に指をはさんで、そっとタッチしてくれないか? と期待した」
実際には、ぶつけるほどではないが、「軽くコンとあてる」ユーザーが大半だったという。これでも損傷のおそれがないわけではないが、山田氏はまずは安心したようす。
「壊れるほど叩く人はいない。それほど心配はしていない」。端末強度の問題は、比較的容易に解決できるとの見方を示した。
JR東日本のFeliCaに対する取り組みといえば、Suicaを利用した電子マネーサービスも注目だ。インタビューの後編では、同社の電子マネーへの姿勢と、ビットワレットが提供する「Edy」との距離感などを聞いてみたい。(つづく)
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