“Myジャストケータイ”〜ドコモ253iシリーズの狙い
シンプルでコンパクト。機能も絞り込んだ低価格なエントリーモデル3機種がドコモから登場する。ただし、FOMAとムーバが混在するラインアップの中で、エントリーモデルの位置づけは不明瞭なままだ。
NTTドコモは9月15日、“Myジャストケータイ”と銘打ったエントリーモデル「253iシリーズ」3機種を発表した。10月以降順次発売する。いずれも、シンプルでコンパクト。想定実売価格も1万円台半ばと低く抑え、値段に敏感なエントリー層を狙う。
ドコモプロダクト部第二商品企画の檀浦保二担当課長は、「ターゲットを絞り込み、機能を最低限にすることで『premini』はヒット商品になった。機能より、デザインなどライフスタイルに合ったものが重要になってきている」と、エントリーモデルの方向性を説明した。
253iシリーズでは、N253iが4色、P253iが5色のボディカラーを用意するなどデザインに凝った。
いずれも100グラムを切り、さらに角を落とすなどボディ形状の工夫により、手に馴染みやすいコンパクトサイズになってる。
逆に統一新機能などは用意されず、内蔵ソフトの改善やイルミネーションランプの搭載など、個別に機能向上が図られている。各機種とも、液晶は2インチ以下でQVGAには対応せず、カメラも31万画素クラスのCMOS搭載と、スペック面での見劣りは避けられない。
“スライド型”というドコモとしては珍しい形状を搭載した「D253i」はともかく、「N253i」「P253i」はボディデザインとソフトをチューニングしたマイナーチェンジに近い。ドコモもこの点は否定せず、安い端末を作るという253iの目標から見ると、開発コストを下げることも重要だとした。
ラインアップの増加が位置づけを不明確に
253iシリーズは、ドコモのラインアップの中ではエントリーモデルに位置づけられる。50xシリーズがミドル、900iがハイエンドという扱いだ。
ドコモは、preminiの成功などを例に「エントリーユーザー層の拡大」をうたう。しかし900i/50xiシリーズが広い層をターゲットとしているのに対して、253iシリーズは“機能にこだわりのない女性”など、ターゲット層が絞り込まれる傾向にある。
価格面でも、900iシリーズ登場の結果、値崩れした505i(S)が非常に低価格で販売されており、結果的にエントリーユーザー向けの端末となってしまっているのが現状だ(9月3日の記事参照)。FOMA登場以前は、25xシリーズが販売数上位に顔を出すことも珍しくなかったが、現在は安い50xシリーズと競合している可能性もある。
さらに2005年には、ドコモはFOMAの普及モデルの投入を予定している(7月30日の記事参照)。これにより、ラインアップがさらに複雑になり、25xシリーズの位置づけはさらに不明瞭になる。檀浦氏は、25xシリーズの今後の開発について検討中とした。
253iシリーズは、preminiが切り開いた“機能を求めないユーザー層”に食い込めるか。ユーザーの反応に注目したい。
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今後、無線LAN内蔵の「N900iL」、GSMとのデュアル端末「900iG」に続き、年末にはiモードFeliCa対応の「901iシリーズ」が投入される。2005年に入ると、FOMA普及モデル、「901iSシリーズ」、そしてHSDPA対応サービスが提供される予定。
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