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地上デジタルラジオが狙う「空いた」VHF帯

地上デジタルラジオが始まるとされるのは、2011年。これは、アナログテレビ放送がUHF帯に“引っ越し”を終えて、VHF帯に空きができるタイミングだ。

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 地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ)の準備が進んでいる。既報のとおり、KDDIおよび文化放送など音声放送事業者6社は「1セグメントラジオ放送」のサービスインタフェースを公開したが、このサービス開始にあたっては“帯域をどれだけ取得できるか”が1つのポイントになる。

 本論に入る前に少しだけ整理しておくと、地上デジタルラジオは2003年10月から、社団法人デジタルラジオ推進協会による試験放送が行われている段階。1セグメント放送を行う事業者と、3セグメント放送を行う事業者(3月3日の記事参照)が混在している。

チャンネル 事業者
91ch NHK
92ch TBSラジオ、FM横浜、BAYFM、ラジオNIKKEI
93ch 文化放送、NACK5
94ch J-WAVE、メガポート放送、RFラジオ日本
95ch ソニー、伊藤忠商事
98ch(3セグ放送) FM東京、ニッポン放送
 デジタルラジオ推進協会の各セグメント構成(東京)

 この試験放送に利用されている帯域は、現在の地上テレビ放送で利用されているVHF帯のうち、未使用の188MHz〜194MHz(第7チャンネル)を活用している。4MHz幅を8つのセグメントに区切り、1セグメント×5+3セグメント×1の試験放送サービスを実施しているわけだ。

 地上デジタルラジオの本サービスが開始されるのは、2011年といわれている。なぜ2011年かといえば、このタイミングでちょうど地上テレビ放送がデジタル化し、現行の地上波がUHF帯である470〜770MHz帯へ“引っ越し”を終える予定になっているからだ。

 この引っ越しが完了したあかつきには、VHF帯であるV90〜222MHz帯が「空く」ことになる。この電波帯は、電波の有効利用の観点から「新規事業に割り当てられる」ことになっている。そこで地上デジタルラジオがスタートする流れになっているわけだ。

 この帯域を、ぜひ地上デジタルラジオに多く割り当ててもらいたいというのが、デジタルラジオ推進協会の考えだ。

 上の表を見返してもらえば分かるが、現状では多くのチャンネルが、複数の事業者が相乗りするかたちでサービスを提供している。特に92チャンネルなどは、TBSラジオ、FM横浜、BAYFM、ラジオNIKKEIの4社が協力して試験サービスを展開している状況となっている。

 複数の企業でチャンネルを持つというのも可能性としてはあるが、できれば1社で1チャンネル持てることが望ましい。関係者からは、「VHFの第7、8、9チャンネルをもらえれば」といった希望的観測も聞かれる。VHF帯のどこになるかは分からない。どこでもいいので、多く割り当ててもらいたい――。それが事業者の偽らざる本音だ。

 逆にいえば、現状ではそのあたりの割当状況が未定のまま。そのため、「帯域もはっきりしないサービスに端末は開発できない」ということで、対応端末の開発の遅れにもつながっている状況だ。

 帯域は、有限な国民の財産。携帯電話の新規参入をめぐり、800MHz帯をどう割り当てるかで論争が起きていること(11月8日の記事参照)を引き合いに出すまでもなく、無線通信のビジネスを考える事業者はどこも帯域をほしがっている。電波は周波数が低いほうが使い勝手がいい(11月4日の記事参照)ことを考えあわせれば、800MHz帯よりさらに低周波数である“恵まれた”VHF帯をどう配分するか、電波行政のかじとりが注目される。

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