帯域によって価値は異なる〜ソフトバンク
携帯の新規事業者が使う帯域が、1.7GHz帯か800MHz帯かで議論になっている。ソフトバンクは、英国が周波数帯によって「価値」が異なるとした例を見習うべきという。
総務省は11月24日、「移動体通信領域の市場画定に関する意見交換会」向けの意見募集の結果を公開した。携帯3キャリア、およびソフトバンクBBなどが意見を提出している。
総務省では移動体市場の競争評価の一環として、関係者による意見交換会を11月26日に開催予定。これに先立ち、「移動体通信領域の市場画定をめぐる論点」と「英国の携帯電話に係る市場レビューの概要」(PDF資料参照)をまとめ、同資料に対する参加者の意見を募っていた。
意見書の中で、ソフトバンクBBは英国の競争評価の手法を評価。英国では独占禁止策として通信料金規制を行っているが、900/1800MHz帯を利用する事業者と1800MHz帯を利用する事業者とで、異なる規制レベルを設定している。
「900/1800MHz帯の規制目標の料金は1800MHz帯に比べて低廉とした。……(中略)公正かつ自由な競争の一層の促進に寄与すると考えるので見習うべき」(ソフトバンクBBの意見書より抜粋)
周波数は、低い帯域のほうが1つの基地局でカバーできるエリアが広くなる(11月4日の記事参照)。このため、より低い周波数帯を利用する事業者のほうが「より低廉な料金でサービス提供すべき」との理屈だ。
背景には、ソフトバンクが800MHzにこだわっている事実がある。総務省は移動体の新規参入用帯域として1.7GHz帯を提示したが、同社の孫正義社長は「(新規事業者に)1.7GHz帯など不利な帯域を割り当てる」つもりかと反発している(10月13日の記事参照)。低い周波数帯と高い周波数帯とでは、価値が異なることを明確にしておきたい考えのようだ。
携帯3キャリアも、同じく意見書を提出しているが「英国と日本は事情が異なる」というスタンス。
「英国の『有効競争レビュー』と日本の競争評価は、目的・背景が異なるといった点を踏まえ、個別に検討すべき」(KDDI)などとしている。
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