MP3フォン、韓国で流行中〜著作権問題も沸騰:韓国携帯事情(3/3 ページ)
韓国に今年登場したMP3フォンは、またたく間に普及した。しかしその裏で、著作権をめぐりメーカーとレコード会社が激論を交わしている。訴訟に発展する動きもあった。
月額定額制で、曲の試聴やダウンロードが無制限な点も特徴。ダウンロードには会員登録が必要で、料金はダウンロード・ストリーミング両方が可能な「フリークラブ」が4500ウォン/月(初回は5000ウォン)、ストリーミングのみ可能な「ストリーミングクラブ」が3000ウォン/月となる。
サービス自体はPC、携帯、MP3プレーヤーのすべてに対応している。PCで聴く場合は「MelOnプレーヤー」というソフトを利用することで、曲の購入から再生、携帯電話への転送が可能。一度PCにダウンロードした曲の期限は1カ月+7日で、それ以降は利用料金を支払わなければ継続して聴くことができないようになっている。
MelOnは、1曲ダウンロードするごとに課金されるユーザーの不満を解消すると同時に、著作権団体の利益も守るという、双方の利益を保つ新しいサービスといえる。MelOnは今後、韓国のMP3ダウンロードポータルとして大きく飛躍するのではないかとの見方もある。
12月1日には、SK Telecomに対抗したLG Telecomが新たな音楽配信サービス「musicON」を開始した。musicONも、PCと携帯の両プラットフォームに対応。2005年5月31日(LG Telecom新規顧客は2005年6月30日まで)までは全曲を無料でダウンロードできるなど、という大胆なキャンペーンを打ち出し顧客獲得を狙っている。
LG Telecomが、大衆音楽非常対策協議会に100億ウォン(約10億円)もの「音楽発展基金」を贈ったという点も注目だ。このうち60億ウォンは著作権料やサイト運用費などに使われ、残りの40億ウォンは有料化技術開発などに使われる予定。つまりmusicONは、著作権団体と合意のうえ開始された韓国初の“業界お墨付き”のサービスということになる。ちなみにSK Telecomは合意せず単独サービスを始めたため、協会から批判の声が出ているようだ。
LG Telecom側は、合法サイトで音楽を無料で提供することで音楽界を発展させると同時に、有料音楽配信サービスの啓蒙活動も行いユーザーを合法サイトへ誘導できるとしている。一方コンテンツプロバイダやほかのキャリアは、これは一部関係者だけが潤う談合でしかなく、これにより有料コンテンツを買う人がいなくなると反論している。
現在、MelOn、musicONともに激しいCM合戦中で、今年中にはKTFも音楽配信サービスを始めるという。音楽を無料でダウンロードすることが習慣となっている韓国で、有料化サービスは根付くのか。今後はユーザの選択にかかっている。
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佐々木朋美
プログラマを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。
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