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ドコモ本社内に設置されたバーチャルな研究組織、「モバイル社会研究所」。そのシンポジウムでは、携帯電話と社会との関わりについて行われた学術的な研究成果が発表された。
「迷惑通信に関する電気通信事業者の責務」を研究テーマにしているのが、弁護士の横山経通氏だ。迷惑通信というのは、いわゆる迷惑メールを含む、架空請求やコンピュータウィルス付きメール、いたずら電話や無言電話などになる。
「本来、迷惑通信は発信者と受信者の通信当事者間の問題なので、通信事業者が間に入る必要はないのです。現在は“不満のはけ口”として寄せられる、利用者の声に対応しているという状況です」
さらに問題の解決を遅らせているのが、電気通信事業法の「通信の秘密(4条)」と「役務提供義務(25条、121条)」の存在だ。通信事業者として守らなければならないこの事項によって、迷惑通信の撲滅は不可能だという。
迷惑メールをすべてブロックして止めるには、メールの中身を事業者が見ることになり、通信の秘密を侵すことになる。また迷惑メールの送信者であったとしても、役務提供義務によって利用を拒否することができないというジレンマもある。
もちろん事業者に対して、送信者の契約解除を迫るという手もないことはない。NTTドコモでは、悪質なメール送信者に対して利用の停止、契約の解除を行うことがある(2003年7月10日の記事参照)。ただしこれも、一度迷惑メール送信者と認定されたからといって、それが未来永劫続くものではない。ほとぼりが冷めたころにまた復活できる道が用意されている。
郵送によるダイレクトメールは、費用対効果があるところに送られるため、経済学的に自然に規制されるようだ。定額制ブロードバンドによって登場したのが迷惑メールだとしたら、それは確かにIT技術の“光と影”といえるだろう。
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