KDDI、2005年度以降は“攻め”へ(1/2 ページ)
2005年度は固定系サービスを拡販、減収をau事業でカバーする。MNPが始まる2006年度は携帯事業を積極拡大、減収分は固定系の貢献でフォローする。KDDIが今後数年の方針を打ち出した。
KDDIは4月28日、2期連続で増収増益となる決算結果を発表した。経営基盤の強化に努めてきたこれまでに対し、2005年度からは“新たなステージ”に進むとし、中期的な方針も示した。
2004年度、営業収益は2.6ポイント増の2兆9200億円、営業利益は1.4ポイント増の2961億円と増収増益。特に、au事業の好調によって固定通信などほかのセグメントの減収を補った格好だ。
利益を犠牲にしても「顧客基盤の拡大」
会見で小野寺正社長は、持続的な成長に向けて顧客基盤を最優先で拡大するという方針を示した。「成長性を確保するためには、いま利益を少し犠牲にしてもお客様を取っていく」と小野寺氏。
「これまで収益基盤の改革、経営基盤の強化を目標にやってきた。今期は顧客基盤の拡大期に入った。従来、選択と集中を主にやってきたが、今後は新しい戦略とスピードをもってやっていきたい」
例えばこれまでau事業にリソースを集中してきたが、今後はauのシェア拡大だけでなく、メタルプラスや光プラスなど固定系の拡販にも力を入れる。フリーキャッシュフローについても、「これまでは有利子負債の削減に使ってきたが、今後は前向きな設備投資に」(小野寺氏)と、攻めの姿勢に転じる。
投資も積極的に行う。2004年度は976億円増となる4400億円を設備投資にあてる。「auはサービスエリア拡大のための投資。今期は2GHz帯への投資も増加すると見込んでいる。ここ1、2年は4000億円台の投資が続くだろう」(小野寺氏)
設備投資額は4000億円台が続く。携帯向けでは2GHz帯の設備投資が増え、2004年度の180億円から2005年度は390億円とする。「800Mhzの周波数変更を総務省が決定しているので(2月8日の記事参照)、800MHzのキャパシティが一時的に足りなくなる。その分を2GHzでカバーしなくてはならない。その分、(投資が)早まっている」(小野寺氏)
「メタルプラスのことを考えたり、来年度のMNPを考えると売上については成長できる。しかし利益は今期、来期、そう大きくは伸ばせない」(小野寺氏)。2005年度は、売上げこそ560億円増の2兆9760億円を見込むが、営業利益は72億円減の2890億円の予想だ。
2005年度、固定事業を拡大、2006年度au事業を拡大
では具体的な中期方針はどんなものなのか。
まず2005年度は、固定系サービスを積極販売。160億円増の6120億円の売上を目指す。拡販に伴い、ドライカッパの賃料や設備の減価償却費などが増えるため、営業利益は420億円の赤字を見込むが、携帯事業の増益でカバーしていく方針だ。
「これまでは固定系の減収をauの増収でまかなうという形だった。今年度以降は、固定系でも増収を目指す。固定強化により減益となるが、auの増益でまかなう。固定事業再構築の好機だと捉えている」(小野寺氏)
続く2006年は、電話番号を維持したまま携帯キャリアを乗り換えられるMNPが始まる年となる(2004年3月30日の記事参照)。小野寺氏はMNPを「顧客基盤拡大のチャンス」だとし、販売コストをかけても携帯電話の顧客獲得に力を入れる。
「2006年はauの増益に行く。つまりコストがかかる。しかしメタルプラスの貢献によって、auの減益を吸収できると思っている」(小野寺氏)
2007年は、ソフトバンクやイー・アクセスなど携帯電話事業への新規参入が予想されるが(2004年12月27日の記事参照)、「MNPへの対応をベースに、総合的商品力とブランド力強化で十分対抗できるだろう」(小野寺氏)とした。
固定と携帯で、攻めと守りを入れ替えながら、利益を維持しつつ“トップライン”──売上を向上させていく計画だ。
そして「2007年は、(固定、携帯の)両方とも増収、増益基調にもっていける」(小野寺氏)という流れを見込んでいる。
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KDDIは、固定と携帯の両方を持つ事業者の強みとして、FMC(Fixed Mobile Convergence)を推し進める。
「5月から統合請求を始め、(固定のユーザーに携帯を勧め、携帯のユーザーに固定サービスを勧める)クロスセルも始めている。次に、固定モバイルの通話料金のバンドル化、固定モバイルの融合端末の開発も第3ステップとして考えている。当然、MNPを目指してやっていると考えてもらってけっこうだ」(小野寺氏)
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