ダウンロードコンテンツ、10年たっても買い続ける? :ワイヤレスジャパン2005(1/2 ページ)
WIN+定額制を武器に、リッチコンテンツ市場を拡大するKDDI。PC系サービスに参入する理由、放送と通信が融合するためのポイントなどについて話した。
「ワイヤレスジャパン2005」(特集参照)で開かれたセミナーで、KDDIコンテンツメディア事業本部長兼コンテンツマーケティング部長の高橋誠氏は「定額料金が演出するコンテンツ・メディアビジネスの方向性」と題して講演を行った。
ダウンロードコンテンツを買っているのは誰か
高橋氏によれば“携帯コンテンツのうち、ほぼ8割はダウンロードコンテンツ。そしてダウンロードコンテンツを利用しているのは、ユーザーの約3割”。この“3割のユーザー”のほとんどは、10代後半から20代前半だ。
KDDI社内では「いまダウンロードコンテンツを利用しているこの3割の人たちが、その後10年経ったら利用しているか?」と疑問視する声も上がったという。高橋氏の答えはYES。「『こうやって携帯で楽しめばいいんだ』と知った人たちは、10年経って、楽しむコンテンツは変わっているかもしれないが、スタイルは変わらない」
とはいえ、ユーザー層を拡大する必要性はある。「コミュニケーション、メールは好きだけどコンテンツは買わない……というヘビーユーザーもたくさんいる。女性に多い気がします。このへんにダウンロードコンテンツを広めていきたい」。
携帯のヘビーユーザーが必ずしもダウンロードコンテンツを利用しているわけではない。現在音楽とゲームが中心になっているコンテンツが多様になっていけば、ユーザー層も拡大できるはず、と見る。
コンテンツ流通がうまくいくためには垂直統合モデルが必須?
高橋氏は、WIN+定額制によって、KDDIはコストエフェクティブで定額なインフラを持ち込んだ、と胸を張る。定額制だからこそ、パケット料金を心配せずに安心してコンテンツを楽しめる。ダウンロードコンテンツそのものも、よりリッチに、より本格的なものに進化しているとする。
「新規事業者がPCの世界から参入してくることもあるし、他社も定額制で追従してきた。通信料は今後下がらざるを得ないだろう。しかし、ユーザーのお財布は代わらない。(通信料の値下げで)浮いた分がコンテンツのほうに流れるのでは」
3Gの通信速度を生かしたリッチコンテンツの代表例が、着うたフルだ。6月には累計1000万ダウンロードを突破している(6月17日の記事参照)。
また「“音楽といえばau”を維持したい。今は具体的に言うことができないが、そのための方策は準備している」と、音楽関連の新しいサービスを準備中であることをほのめかした。
音楽、ゲームに続くコンテンツビジネスとしてKDDIが期待しているのが電子書籍市場(4月19日の記事参照)。「ビジネスモデルは、音楽のときとまったく一緒」(高橋氏)
「PCの世界では、一部の例外を除いて、コンテンツビジネスは成功していない。しかし携帯の世界では成功している。成功した理由は、ソフト屋さんとハード屋さんを我々オペレータがつないだから。著作権管理の仕様を、ハード屋さんではなくオペレータが書く。世の中で“垂直統合”といわれているモデルだが、コンテンツ流通がうまくいくためには必須」(高橋氏)
携帯で成功したビジネスをPCに持ち込む
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