ケータイデザインはファッションか?──GDP2005(1/2 ページ)
季節ごとに新しいものが生まれ、流行となっていくファッション。使い勝手に立ったモノとしてのデザインとは異なる価値観がそこにある。各社の携帯デザイナーによるディスカッションの帰結は?
携帯のデザインとはいったい何なのか。「グッドデザイン賞」にノミネートされた製品の展示を行う「Good Design Presentation 2005」の会場で行われた「ケータイデザインミーティング2」では、各携帯電話メーカーのデザイナーが集まり、携帯電話のデザインについてのディスカッションが行われた。
ナビゲーターの藤崎圭一郎氏が提示したテーマは、「ファッションとケータイデザインの共通性」。
いわゆるプロダクトデザインは、衣服に代表されるファッションの世界と相容れない存在だ。ファッション──例えばTシャツのデザインは、良い悪いといった観点よりも、好き嫌いで決まるものとして捉えられている。1枚のTシャツに愛着を持って着続けるというよりも、その日の気分によって選ぶ。「ファッションショー」が新しい衣服を見せる催しを意味するように、良いものを長くというよりも、時代の流行を反映するものでもある。
実は携帯のデザインも、こうしたファッションに近い方向に進んでいるのではないか、というわけだ。
左からシャープの水野理史氏、ソニー・エリクソンの佐藤敏明氏、東芝の中野展子氏、パナソニック モバイルの宮澤卓行氏、KDDIの小牟田啓博氏。水野氏は、「あらゆる人が持っている。そういう商品は携帯くらいしかない。時計とかサイフとか、身につけるものとして+αされた」と話した
把握しているだけで2000万枚──カスタムジャケット
携帯のデザインが、いわゆるプロダクトデザインと異なる方向に進んでいることを示す、1つの例が“着せ替え”だ。
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FOMA「P900i」のカスタムジャケットで、携帯デザインに新しい潮流を持ち込んだパナソニック モバイル。そこで主に海外向け端末のデザインを行う宮澤卓行氏は、カスタムジャケットの“ファッション性”に、こう言及する。
「こちらで把握しているだけでカスタムジャケットの出荷は2000万枚オーバー。洋服と同じように、自分の価値観を外化する。そこにファッション性があるんじゃないか」
カスタムジャケットが単なる着せ替えではない点が1つある。ファッションであるカスタムジャケットについては、メーカー側は敢えて“デザイン”をしていないことだ。
「メーカーがジャケットのデザインを押しつけてはいけない。欧州のオペレータにカスタムジャケットを紹介するときは、『ここは(ユーザーが自分を表現する)1枚のキャンバスなんです』と言っている。4本のビスでジャケットは止まっていて、極端なことをいえばユーザーが木でジャケットを作って止めたっていいんです」
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