イー・アクセスが携帯免許申請〜ゴールドマンの出資も明かす
イー・アクセスは、携帯新規参入に向けて総務省に免許申請を行った。ゴールドマン・サックスから250億円の出資を受ける話も、事実上認めた。
イー・アクセスは9月29日、携帯電話新規参入に向けて総務省に免許申請を行った。千本倖生会長兼CEOと種野晴夫社長が直接、霞ヶ関の総務省に出向いて申請した。
同日、一部で「米金融大手のゴールドマン・サックスがイー・アクセスの移動体を担当するイー・モバイルに250億円を出資する」との報道があったが、記者会見に応じた千本氏はこれを事実上認めた。
「2年間準備してきた」
総務省10階で囲み取材に応じた千本氏は、「いよいよモバイルブロードバンドという巨大マーケットに入る準備ができた」と気を引き締める。「(免許取得のために)2年間準備してきた。まずデータ通信サービスから開始し、1年後に電話(通話サービス)を全国に普及させたい」
申請のタイミングでゴールドマン・サックスの出資話が出たのも、あながち無関係ではないようだ。千本氏はゴールドマンの出資話が決まったのは「ニューヨーク時間で、昨日のことだ」と話す。これによりイー・モバイルの資金面での土台が固まり、翌日の申請につながった。
イー・モバイルには現時点で、先日発表されたTBSの100億円の出資(8月31日の記事参照)、およびイー・アクセス本体が出資した300億円と合わせて、650億円が集まる見通し。千本氏は最終的に、1000億円規模の資本を集めたい考えだ。
「もうちょっと追加投資を募りたい。具体的な名まえは明かせないが、『イー・モバイルに興味を持っている』という話が殺到している。あとは条件が合うところ、つまりどちらが美人か……という段階で、(350億円の調達は)資金的に十分視野に入っている。まったく問題ない」
ゴールドマンに出資を仰いだ経緯として、千本氏は「昨日、今日の話ではない」とコメントする。
「イー・アクセス創立当時、最初に投資してくれたのがゴールドマンだ。プライベートエクイティ(未公開企業などに投資し、企業価値が高まったのち株式売却などでリターンを得る投資手法)として、30億円ぐらい投資してもらった。その後イー・アクセスが上場した後、これはゴールドマンとしても最もよかった投資だと評価してもらった」。今回の投資も、そうした5年以上の信頼関係をベースにしたものだという。
ローミングはいまだ交渉中、端末は海外メーカー製も
イー・アクセスの移動体事業で気になるのは、同社がNTTドコモの通信インフラとのローミングを望んでいること。千本氏は「既存事業者と新規事業者では、すごいハンディキャップがある」と繰り返す。
「(ドコモとしては)敵に塩を送ることになるという議論もあるが、不平等な競争を、ある程度フェアにしてほしい。ずっと頼るつもりは毛頭なく、ローミングする期間はせいぜい2年ぐらいだろう。あまり甘えることはできないので」
もっとも、種野社長はこの件で「まだ目処が立っていない」と率直に認める。本格的な話し合いは、移動体事業の免許が取得できてからだとした。
会見では、提供端末についても言及した。国内、海外の端末メーカーと話し合いを行っているという。
「国内の既存事業者は(自キャリア向けに特化した)“自分用”の端末開発を進めているが、世界的な傾向は異なる。メーカーが開発した汎用品を各キャリアがオープンに採用する方式で、我々もグローバルスタンダードの端末を提供したいと思っている」。その上で、イー・アクセスならではの特徴的機能を追加で入れることも考えるという。
イー・モバイルは9月16日にオープンした「ヨドバシカメラマルチメディアAkiba店」にて、コンセプトモデルを展示し来場者の意見を募っている。どんな意見が集まったか問う質問では、千本氏は相好を崩し「非常に期待が大きいので、びっくりしている」と話す。
「想像していなかったような端末のアイデアもある。我々もうなずくことが多く、こうした意向をくんだ端末を出したいと考えているが、詳細は『手の内』だ」として、詳細は明かさなかった。
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