KDDI、燃料電池内蔵ケータイを展示:CEATEC JAPAN 2005
「W32H」「A5509T」に、燃料電池を組み込んだ端末が展示されている。燃料で実際に端末が動作している。
KDDIは10月4日に開幕したCEATEC JAPAN 2005の展示ブースで、燃料電池を内蔵した携帯電話2機種を展示している。日立製作所製と東芝製で、いずれもメタノールを燃料につかうDMFC方式。内蔵の燃料電池で実際に端末が駆動し、燃料の充填もデモンストレーションしてみせた。
日立製作所のプロトタイプ。液晶背面にパッシブタイプの燃料電池を組み込んでおり、内蔵できる3ccの燃料で10時間程度の待受が可能だという。燃料は濃度60%以下のメタノール水溶液。最大300ミリワットの出力を持つ。
プロトタイプは最新機種「W32H」をベースとしたもので、重さは150グラム。W32Hよりも25グラムほど重くなっている。また燃料電池の厚みは5ミリ程度だという。
ペンタイプの燃料カートリッジは初公開されたもの。これまで東海と圧縮空気によるカートリッジを使ってきたが、より小型機器向けに新開発した。6ccの容量を持ち、繊維状のペン先を端末内に差し込んで燃料を充填する。
東芝製のプロトタイプ。「A5509T」をベースとしたもので、厚みは40ミリ、重さは160グラムとなっている。バッテリー側にパッシブタイプの燃料電池を組み込んだ。7ccの燃料を内蔵でき、リチウムイオン電池の2.5倍にあたる時間の駆動が可能だという。燃料は99.5%のメタノール。出力は300ミリワットとなっている。
両機種とも、燃料電池のほかにリチウムイオン電池を内蔵している。これは現在の300ミリワットの出力では携帯電話が必要とするピークの出力をまかなえないため。東芝は1ワットの出力を目指しているが、「電波状態がよいところで静止した通話で1ワット程度。1ワットの出力ではピークには足りない」(東芝)ことから、リチウムイオンなどのバッファとなる電池を必要とする。こうした用途にはキャパシタも利用できるが、コメントはもらえなかった。
技術的にはかなり完成度が増してきたが、課題はメタノールの扱いに関する法整備だ。また各社で異なる燃料濃度とカートリッジ形状も、燃料の流通面で不安を抱える。こうした整備が整うのは2007年とみられ、そのタイミングが燃料電池普及の元年となりそうだ。
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