「902i」の文字入力を考える(2/2 ページ)
地味ながら、実は大きく変わった902iシリーズ各種の日本語入力システム。各機種の方式の違いとともに、大きく変わったP902iの状況をまとめる。
「予測辞書には単語数が多いほうがいい」──と一般に思われているが、日本語入力の開発者が労力を割いているのは“いかに単語数を減らすか”だったりする。予測変換は無駄な候補が出れば出るほど変換効率が落ちる。いかに無駄な候補を削り、的確な候補を出すかが、機能の差異がなくなりつつある日本語入力システムの肝だ。
ATOKで面白いのは、予測システムにおいて濁点入りの単語を濁点なしの入力で候補表示するところだ。例えば、ほとんどの機種の予測変換では、「しんし」では「新宿」は候補に出てこない。ところがATOKでは「新宿」が登場する。ユーザーにとっては濁点を打つ必要がないという利便性があるのだが、その分、候補数が増えてしまい、効率が落ちる可能性がある。分かっていながら濁点対応し、それでいてデメリットを感じさせないあたりは、ATOKの強みが感じられる点だ。
左はD902i、右はF902iの文字入力画面。数字、英字のつもりで文字を入力し、上ボタンを押せば数字候補や英字候補が表示される。2桁の数字を入れた場合、「日」「分」といった単位が付いて表示されるのは便利だ
地味に底上げ図った902i
全体としていえるのは、機能面での底上げが著しいことだ。例えば「P902i」や「N902i」「D902i」では、入力した絵文字の学習機能が追加された(シャープ端末には以前から搭載されている)。
シャープ端末の「カナ英数」変換ボタンにあたる機能も搭載されているようだ。ATOK搭載機ではカナ英数変換ボタンの代わりに上キーを押すと、カナ候補、英字候補、数字候補が並ぶ。P902iも同様だ。
一部ユーザーには気になる「ポケベル入力」にも触れておきたい。「N902i」はポケベル入力可能。「P902i」はポケベル入力に加え、T9がなくなった代わりか「P252i」で採用されたガイド付き2タッチ入力法「ニコタッチ」が搭載されている。「F902i」「D902i」は、“F”端末に搭載されていた「スロット入力」という入力方式が採用されている。これは十字キーで文字を選択するという一種のソフトキーボードだ。ポケベル入力は搭載していない。「SO902i」については、詳細を調べることができなかった。分かり次第、お伝えしたい。※スロット入力は新規方式ではなくF端末に搭載されていたものです。訂正致します(11月6日付記)
また、リリースで伝えられた「インライン入力」は、「デコメールピクチャインライン入力」。つまり最上段の文字列に、画像と文字を混ぜて入力できるようになったということを指す。いわゆる日本語のインライン入力は相変わらずできていない。
901iSまでのFOMAでは、まず電池の持ちやサイズ、そして新機能への対応に精一杯な印象だった。文字入力に代表されるような使い勝手の部分は、端末としてのウリにはなりにくい。自然と、音楽機能やカメラなどに力が入りがちなのがこれまでのFOMAだった。しかし、902iではこうした基本部分に大きく手が入った。案外派手な部分の少ない902iだが、こうした部分に注目したい。
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