開発者が明かす「ここがコッソリと機能向上している」:シャープ開発陣に聞くSH902i(後編)(2/2 ページ)
後編では「SH902i」が機能面でどのように向上したかを、具体的に見ていく。カメラ、フルブラウザ、音楽再生などで各種改良が図られた。
フルブラウザは使い勝手に工夫
SH902iから新しく対応した機能として、フルブラウザがある。ブラウザ自体は「N901iS」などでも採用例があるACCESS製の「NetFront」だが(5月26日の記事参照)、SH902iとして個別に使い勝手の改善を図った部分もある。
その1つが、最大500KバイトのファイルをPCサイトからダウンロードできること。Webメールの添付データを受信することも可能で、ExcelやWordなどの文書をドキュメントビューアで閲覧することもできる。ただし、Web上の画像をダウンロードして端末内に保存する……という操作はできない。これはユーザーからの要望も多い機能なだけに、残念なところ。
端末のダイヤルキーに、Web関連の短縮機能を割り当てた「クイックインタフェース」も特徴的だ。SH902iのフルブラウザは最大5枚までウィンドウを開けるのだが、複数ウィンドウを開いた状態で「1」キーを押せば、ワンタッチでウィンドウを切り替えられる。「7」キーはクイックWeb検索が割り当てられており、ブックマーク登録した検索サイトをダイレクトに呼び出し可能。また「8」キーをクリックすれば、表示ページ内検索を実行できるようになっている。
Symbianでも動作は「遅くなっていない」
ひとつ気になるのが、SH902iのOSがリアルタイムOSからSymbian OSに変わっていること(10月28日の記事参照)。これにより動作が遅くなっていないか気にかかる。実は、開発陣は最初の試作機を見たとき、「なんだこの動作速度は」とがっかりしたのだという。
「(遅いといわれている)FOMAの中でも、過去最も遅かった端末ぐらいひどかった。このまま市場に出てきたらどうしようと思った」(苦笑)。しかし最終的には、FOMAの中で比較的優れていると評価されるSH901iSの動作速度に迫るスピードを実現したという。「文字入力などは、遜色ないはずだ」
スピードアップの原因は、ARM11コアのアプリケーションプロセッサ「OMAP2」によるところが大だったのかとも思うが(11月1日の記事参照)、開発陣は実感としてOMAP2によるクロックアップよりもOSのチューニングが重要だったと強調する。
「OSをどう上手く使えばいいのか、最初は分からなかった。Symbian OSなりのクセがあったが、技術者を信じていたところ時間とともに改善してくれた。今のレベルになって、ホッとしている」
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