端末の「命」であるUIで妥協はあり得ない──「SO902i」のこだわり:ソニー・エリクソンに聞く「SO902i」(UI編)(2/2 ページ)
残念なことに発売が延期になった「SO902i」だが、端末の操作性を左右するインタフェースは、特に時間をかけて作り込んでいる。開発の際に注力した部分を聞いた。
そこでSO902iでは、メニューキーを押せばメニューが呼び出せ、このメニュー画面だけで、ソフトの切り替えと新規起動が自然に行えるようにした。メニュー画面がランチャーであり、すべての入り口という位置づけだ。メニュー画面の上部に既に起動中の機能が一覧表示される仕組みで、メニューを呼び出して上キーを押せば機能が切り替えられる。
「別のことをしようとしてメニューを呼び出し、うっかり上キーを押したら既に起動している機能が表示してあって、それを選んだら機能を切り替えられた、という『うっかりマルチタスク』になっている」(近藤氏)
マルチタスクを意識していない人でも、自然とマルチタスクを活用できるようにしているというわけだ。また、例えばiアプリを使っているときに、何かの間違いでメニューキーを押してしまうとメニューが起動するが、メニュー画面の背景には直前まで利用していた機能がうっすらと透けて見えるようにしてある。メニューを閉じればすぐ元に戻れることが直感的に分かるようにしているのだ。
そして、どんなときにでもメニューを呼び出して[上]キー→[決定]キーと押せば待受画面に戻れるという安心機能も用意する。
悲願の「どこでもキーロック」を搭載
SO902iの左側面に設置された「どこでもキーロック」ボタンも、使い勝手のよさを追求する上で不可欠なものだった。これは、ソニエリの悲願ともいえる機能だ。
一見簡単そうに見えるキーロック機能だが、従来の端末では待受画面に戻る必要があり、便利とはいい難かった。近藤氏は「今までいろいろな人から『なぜその場でキーロックできないの?』という質問を投げかけられた」という。折りたたみ型や回転2軸型の端末の場合、ちょっとポケットに入れたり、一瞬使用を中断したいときにはディスプレイを閉じるだけで済む。しかし、ストレート型の端末は、キーがむき出しなのでそうはいかない。とっさにキーをロックしたい、という要望は「当然あると思っていた」。
しかし、近藤氏は「単純にすべての機能が止まればいいというわけでもない」と話す。なぜなら、多くのユーザーはキーロックをしてしばらくすると、ロックしたことを忘れてしまうからだという。キーロック中に着信があって、電話に出られなかったら焦ってしまうこともあるだろう。また、マナーモードにし忘れて、静かな場所で突然携帯が鳴り始めたとき、キーロックのせいで音が止められなければ、軽くパニック状態に陥ることだってありうる。「キーロックしていても、必要な操作はできるようにしておきたかった。それを実現するのが難しくて、『どこでもキーロック』のような機能を搭載できなかった」
SO902iでは、前述の通り新しいプラットフォームを採用し、UIも新規に開発した。そのため「全体のアーキテクチャから動作を考え、作り込むことが可能になり、ようやく搭載することができた」と近藤氏はいう。SO902iのキーロック機能は、あらゆる利用シーンを考慮した上で設計されており、動いている機能には害がないように、誤操作だけを防止する。動画撮影中にキーロックすれば、撮影状態のままロックするし、iアプリなども停止はしない。もちろんキーロック中でも終話キーと発話キーは使え、着信があってもすぐに電話に出られる。
「キーロックというよりは、ポーズに近いもの」とデザイン担当の鈴木茂章氏。ちなみにスイッチをバネ式にした理由は、ロック状態と解除状態を切り替えるスライドスイッチだとソフトウェアとの不整合が生じる可能性があるからだそうだが、鈴木氏は「バネの方が感触がいいから」とも話していた。
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