ウィルコム、7年ぶりに新入社員──携帯/PHSキャリアの入社式
携帯電話/PHSキャリアのトップが、入社式で新入社員へ向けて期待を話した。今年は例年以上に激化が予想される競争や、変革スピードの速さについての指摘が目立った。
携帯電話/PHSキャリア各社の社長および会長が、入社式で新入社員に対する期待と会社の現状を話した。今年は新規事業者の参入や番号ポータビリティーを控えており、今まで以上に事業者間の競争が激化すること、また変革のスピードも飛躍的に速くなることを指摘する経営者が多かった。また、顧客を重視する姿勢、ユーザーとしての視点を持ち続けることの重要性も話題となった。
2006年度の新入社員は、NTTドコモが319人、KDDIが160人、ボーダフォンが32人。またウィルコムには実に7年ぶりの新入社員が39人入社した。なおボーダフォンの会長/社長による訓示は公表されなかった。
今年はいろいろな意味で激しい変化があると覚悟──ドコモ中村社長
ドコモ社長の中村維夫氏は、携帯電話業界を巡る環境変化の激しさを指摘。「特に本年度は非常に大きな変化になる」(中村氏)という。一例として、秋に始まる番号ポータビリティーや、ソフトバンクによるボーダフォンの買収を挙げ、ドコモの事業運営には「お客様」を見ていくこと、「柔軟性」を持ってさまざまな事象に対応すること、そして速い変化の「スピード」についていくことが重要だと話した。
また「今後どのようなジャンルとどのような形で連携するか分からない」(同氏)と、ドコモが携帯電話事業を通してさまざまな分野と提携していく可能性があるという認識を示したのは興味深い。新入社員には幅広い興味を持ち、柔軟な考え方を身につけてほしいことを伝えた。いろいろな人と幅広く付き合っていける「対人能力」や英語能力も欠かせないという。
ドコモが今何を考え、何をしようとしているかは、別の機会にまた話すとした。
絶え間ない改革と確固たる前進の姿勢で勝ち抜く──KDDI小野寺会長
KDDI会長の小野寺正氏は、昨年に引き続き今年も“戦略とスピード”を重視した事業運営を行うと表明。従来のTCS(Total Customer Satisfaction:顧客満足の追求)に加えて、新たにもう1つのTCS(Triple Convergence Strategy:3つの融合戦略)を掲げた。新しいTCSは、「LISMO」に代表される固定通信サービスと移動体通信サービスの融合、同社が「ウルトラ3G」と呼ぶ固定ネットワークと移動ネットワークの融合、そして社内組織の機能毎での融合を指す。この3つの実現を目標に事業を推進していくという。
新入社員には「自分自身がサービスの利用者、お客様であることを忘れずに」(同氏)と伝え、「顧客のニーズ・ウォンツを的確に捉えて、お客様にご満足いただけるサービスを提供していくことが企業存続のすべて」だと断言した。また「正しい考え方を身につける」ことで法令の順守とコンプライアンスの徹底を訴え、「与えられた仕事に全力で取り組んで自らを高め、社外でも通用するその道のプロを目指してほしい」と話した。
「KDDIは常にチャレンジし続ける集合体でありたい」と小野寺氏。「例え失敗したとしても、お客様満足度向上を目指し、一所懸命考え取り組んだことであれば、KDDIにとっても将来の糧になる」とチャレンジを促すことも忘れなかった。
7年ぶりの入社式で迎える側も緊張──ウィルコム八剱社長
ウィルコムでは、1999年以来7年ぶり、2005年2月に社名をウィルコムに変更(2004年10月14日の記事参照)してからは初めて新卒の新入社員を迎えることになった。社長の八剱氏は「みなさんも緊張していると思うが、我々迎える側のメンバーも緊張している」と久々の新入社員を歓迎した。あいさつの中で八剱氏は、この1年で大きく社内の雰囲気が変わったこと、2005年4月から毎月6万〜8万の純増数を記録しており、2006年1月には関東圏でドコモやKDDIを抑えて純増数1位になったこと(2月7日の記事参照)などを紹介し、好調さをアピールした。
また同氏は、今年の新入社員が就職活動をしていた時期は、まだウィルコムの将来が不透明だった時期であることに触れ、「その段階でウィルコムの可能性を評価していただいた、本当の意味でのウィルコム一期生」と評した。新入社員には、PHSの技術や携帯との違いなどをしっかり学んでほしいことと、「知るという段階から始まって、面白そうだなと思ってほしい。そして仕事を楽しいと思えるようになったら最強の社会人になる」ことを伝えた。
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