ワンセグは標準装備になる──KDDI小野寺氏:ワイヤレスジャパン2006
KDDI社長兼会長の小野寺正氏が、ワイヤレスジャパン2006の基調講演の中でワンセグについて言及。かつてのカメラ機能のように、端末に標準搭載されるようになるとの見通しを示した。
KDDIの社長兼会長、小野寺正氏は7月19日、ワイヤレスジャパン2006の基調講演で、同社が進める固定電話網と携帯電話網の融合戦略や、インフラの進化に合わせたサービスの展開、今後投入予定の新技術などについて話した。その中で特に興味深かったのが「通信と放送の融合」というテーマの中で話されたワンセグ機能についての同氏の見方だ。
小野寺氏は「おそらくワンセグは、カメラ機能のように携帯電話の標準装備になっていくと見ている」と話した。キャリアやコンテンツプロバイダ、そしてテレビ局などの多くがワンセグの先行きに対して決して明るい見通しを持っていない中で、同氏のこの発言は珍しい意見といえる。
「(ワンセグは)通信料などが発生しないサービスなので、携帯キャリアにとってどんなメリットがあるのか、と問いたい人も多いだろう」と、小野寺氏も自身の意見が業界の中で異色のものであることを認める。しかし、「ワンセグは災害時の対応を考えたとき、非常に有効に使える」と同氏は話す。
「大地震などの災害が発生すると、安否確認のために携帯で電話をかける人が多くなるので、輻輳(ふくそう)が起きないようにトラフィックを規制する必要がある。しかし、携帯がワンセグに対応していれば、まず放送である程度の状況確認が可能になる。これによって、トラフィックのピークを落とせるのではないかと考えている」(小野寺氏)
ワンセグのデータ放送に、安否を知らせるメールが送信できるフォームへのリンクを用意したり、安否確認ができる「災害伝言板サービス」へのリンクを設置することで、スムーズに連携させることも可能だろう。「(ワンセグが)搭載されていれば、いろいろな使い方ができる」(同氏)
KDDIでは、現在販売するテレビ対応端末で、EZナビウォークやEZチャンネル、聴かせて検索などとEZテレビを連携させたサービスを提供しており、単純に“テレビが見られる”だけではない、“使うテレビ”を提案している。災害時に携帯とワンセグの連携機能を提供することも、今後の重要な課題だと考えているようだ。
具体的に、今後発売する機種のすべてをワンセグ対応にするといった発言があったわけではないが、時間をかけてGPS対応端末や着うたフル対応端末を充実させてきたKDDIだけに、ワンセグ対応端末も徐々に増えていくものと思われる。
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