[es]の狙い、そして次なるW-ZERO3の構想(3/3 ページ)
“何かすごいモノで電話しているね”──W-ZERO3が市場に受け入れられた裏に、約7割のユーザーがほかの音声端末ないし携帯電話を併用していることも分かった。「もう少し“ケータイ寄り”なら、もっと市場が広がるのではないか」ウィルコムとシャープはこのように考え、W-ZERO3[es]が誕生した。
USBを活用し、PCと連携できる機能はW-ZERO3と大きく変わらない。しかしUSBホスト機能を設けたことで、PCで使える周辺機器を[es]でも使えるという活用提案もできるようになった。また、本機がホストとなるので、USBハブを介したUSBデバイスの利用も想定できる(サードパーティメーカーから変換アダプタの発売も予定)。
USB接続タイプのデバイスとして、無線LANやBluetoothアダプタ、外付けワンセグチューナー、外部ディスプレイ出力が行えるプレゼンテーションアダプタ(サードパーティ製)などの発売が予定されている。
なお、外付けのワンセグチューナーユニットのみ例外で、機器同士の認証が必要であることから本機専用となる。ユニットはUSBで接続し、背面に設置。アンテナが本体を斜めに保持するスタンドも兼ねるという独特の設置方法となるようだ。
PC用のPCカード型ワンセグチューナーカード(富士通「FMV LOOX-T」やエプソンダイレクト「Endeavor NA101」などでオプションが用意されている)もそうだが、着脱が可能なワンセグチューナーは、本体とカードの相互で認証を行い、それを行った機器でのみ使用できるような仕組みになっている。
「本体側はユニークなIDをいろいろな部分で持っています。ワンセグチューナーユニットのそれとマッチングさせて個体認証する仕組みとなる予定です。開発側としてはなかなかハードルが高い作業ですが、ユーザー側の作業は簡単に行えるようにします」(廣瀬氏)
[es]はW-ZERO3の最終形ではない
今後、W-ZERO3[es]とW-ZERO3はどのように進化していくのだろうか。
「W-ZERO3は、よりPCに近づいていくものと考えています。そのため“さらに大きく”なるかもしれませんが“よりハイパフォーマンス”に進化するかもしれません」(須永氏)
初代W-ZERO3は市場戦略上、どうしてもオールマイティでなければならなかった。しかしW-ZERO3が市場に受け入れられたこと、そして[es]のおかげで、よりキャラクターを主張できる別の機種を開発できる可能性もさらに広がった──。そう述べ、須永氏は次期モデルの投入も示唆する。
「インテルのXScaleとWindows Mobileのプラットフォーム、その上にシャープのアプリケーションが載るという構造。携帯とはまったく違う文化ながらそれを活かし、そして携帯とは異なるセグメントに向けて、圧倒的なパフォーマンスの違いを見せつけたい。もちろん上記以上のプラットフォームが出てくればそれを固持する必要もないと思っています」(廣瀬氏)
MS-IME以外の日本語入力システムとしては、シャープであれば同社製携帯に搭載する「ケータイShoin」を採用したかったという思いもあっただろう。しかし実際に載るのは「ATOK+APOT」だ。どちらが絶対的に優秀かということではなく、[es]の持つ機能とのマッチングを最大限に考えた結果である。もちろんこのことはユーザーの意見も大きく影響したことだろう。
「ユーザーの声は、今後も最優先に取り入れていきたい」
[es]が開発された前提にあるのは、ユーザーがW-ZERO3を支持してくれたからだと両氏は述べる。先日行ったW-ZERO3[es]の質問を募った記事で集まった読者の声を、両氏は非常に興味深く、かつじっくり読んでくれた。
今後、より小さく薄いものが登場するかもしれないし、よりPCに近づいたもの、高機能なものが登場するかもしれない。[es]の登場が、W-ZERO3の可能性をさらに広げた。[es]はW-ZERO3の最終形ではないのである。
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