スーパーボーナス契約が必須の「X01HT」でソフトバンクが狙う市場
HSDPAに対応したHTC製のWindows Mobile 5.0搭載機「X01HT」を10月14日に発売するのに合わせ、ソフトバンクモバイルは改めてその特徴とメリットを紹介した。X01HTを投入する狙いはどこにあるのか?
ソフトバンクモバイルは10月11日、HTC製のWindows Mobile 5.0搭載端末「X01HT」を14日から全国で発売すると発表した(10月11日の記事参照)。これに合わせて開催された説明会では、ソフトバンクモバイルがX01HTを投入する理由や、同社の端末ラインアップの中でのX01HTの位置づけなどが紹介された。
冒頭、ソフトバンクモバイルでマーケティング・コミュニケーション統括部長を務める栗坂達郎氏はX01HTを「ブロードバンド時代を切り開いてきたと自負しているソフトバンクとしては、グループのサービスをより身近に感じていただける機種」と紹介。「PCと同じようにダイレクトにインターネットに接続できるうえ、WordやExcelのようなオフィスアプリケーションのファイルを直接操作できる。それでいて、音声通話やテレビ電話、カメラなど、携帯電話として必要な基本機能も備えている」とその魅力をアピールした。
ソフトバンクモバイルがX01HTを投入する理由
X01HTをソフトバンクの端末ラインアップに加えた目的は、いつでもどこでも安心してオープンなインターネットのにアクセスできる環境を用意するためと、いつどこからでも安心してオフィスと同じ環境にアクセスして仕事ができる環境を提供するためだ。
ソフトバンクモバイルのMD統括部長、村越正之氏は「X01HTの特徴は、PCに近い使いやすさを持ち、豊富な情報を扱え、高速なインターネットアクセスができるという3点に集約される」と話す。これらの要素は、ネットに対する理解度(リテラシー)が高く、しかもネットの利用頻度が高い、いわゆる“ネットアクティブユーザー”のニーズに合致するという。
村越氏の分析によると、ネットアクティブユーザーには大きく分けて「ネット好きタイプ」「トレンドタイプ」「ビジネス利用タイプ」「エンタメ嗜好タイプ」の4種類がある。中心となるのは男性のビジネスユーザーだが、それぞれ少しずつ異なる利用目的やニーズを持っている。
ネット好きタイプとは、多くが男性で30代より上の世代が約7割を占めるネットマニアで、「さくさくアクセスしたい」「操作は簡単な方がいい」「いろいろなソフトをインストールしたい」といったニーズを持っていると想定。同様に、トレンドタイプなら20代以下が約半数ほどいる男女同数の集団で、流行や情報を積極的に取り込み、知人とのコミュニケーションを重視する層で、「オン/オフの活発な連絡などに便利なツールがほしい」「自分の思うように使いたい」といったニーズを持つと想定する。
一方ビジネス利用タイプは20代後半から30代の男性が中心で、仕事に加えてネットバンキングや株取引などにも使用するユーザー。「煩わしさを軽減するツールがほしい」「できる限り合理的にやりたい」というニーズを持つ層だ。さらにエンタメ嗜好タイプでは、やはり男性が中心になるが若年層が多く、オンラインゲームや楽曲のダウンロード、動画再生などの機能を重視するユーザーで、「楽しみを実現するためのツール」「いつでもどこでも楽しみながら使えるツール」を求めているとする。
村越氏は、「X01HTならそれらのユーザーにモバイルPCに近い環境を提供でき、そのニーズを満たすことができる。X01HTは既存の音声端末とはまた違った、より男性・ビジネスユーザー向けの製品で、今までのラインアップにはなかったもの。X01HTを投入することで、これらのユーザーを積極的に獲得していきたい」と話す。
X01HTが持つ、他社製品に対するアドバンテージ
また村越氏は、X01HTのセールスポイントとして以下の5つの特徴を挙げた。
- Windows Mobile 5.0+QWERTYキーボード
- 3Gハイスピード(HSDPA)対応
- 携帯電話の基本機能をサポート
- ビジネスユースにも最適な機能を搭載
- 多彩な通信手段やメディアをサポートし、国際ローミングにも対応
Windows Mobile 5.0は、ウィルコムの「W-ZERO3[es]」やドコモの「hTc Z」など、QWERTYキーボード搭載機の多くが採用するOSで、国内では注目度が高い。携帯電話向けOSというくくりでは英SymbianのSymbian OSのシェアが大きいが、こと日本ではマイクロソフトのExchangeサーバやOfficeアプリケーションなどとの親和性の高さが好評だ。普段使っているPCとほぼ同等のインターネットアクセスができるため、Yahoo!のコンテンツなどがそのまま利用可能というメリットもある。
なおMSFP(Messaging and Security Feature Pack)(6月6日の記事参照)を利用してExchangeメールのプッシュ配信を実現する企業向けソリューションなどの採用例が多いWindows Mobile 5.0搭載機だが、X01HTでは、現状のソフトバンクのネットワークの仕様上、Exchangeメールのプッシュ配信が利用できない。ただし、これは近日中に対処して使えるようにする予定だ。
新たにサービスを開始した3Gハイスピード(HSDPA)に対応しているのも、他社のPDA型端末にはない魅力の1つで、より高速なネットワークを利用し快適にデータの送受信ができる(10月11日の記事参照)。端末の仕様上、下りの最大速度は3.6Mbpsではなく半分の1.8Mbpsとなっているが、それでも既存のW-CDMAの384kbpsと比べれば5倍の速度がある。対応エリアは当初東京23区と政令指定都市の一部地域のみだが、順次拡大していく。
またW-ZERO3[es]を意識してか、「音声通話やテレビ電話、カメラ機能など、いわゆる“普通の携帯電話”としての機能もしっかり搭載している」と村越氏は話す。手に収まる小型のボディは電話として使っても抵抗のないサイズで、そこに無線LANやBluetooth、赤外線などの通信機能を搭載している。2メガピクセルのCMOSカメラを搭載するのもW-ZERO3[es]に対するアドバンテージだ。国際ローミングに対応している点もアピールした。ただし、S!メールの送受信はできないので注意が必要だ。
さらに、今回X01HTのすべての機能をデュアルパケット定額の対象に含め、月々1万290円(2007年1月までのキャンペーン期間中は5985円)で利用可能とした点はドコモのhTc Zに対する利点として強調した。とはいえBluetooth機能のうち、PCのモデムとして利用する機能(DUN/Dial-up Network)は利用できなくしているという。X01HTから利用する機能に関しては定額で使えるが、PCのモデムなどとして定額で通信できるわけではないようだ。
「X01HTの投入を機に、スマートフォン市場に対し、通常の音声端末と同等かそれ以上に積極的に参加していきたい」(村越氏)
頭金は3万円前後──ただしスーパーボーナス契約が必須
X01HTの価格(頭金)は3万円を切るくらいを想定しているという。ただしスーパーボーナスへの加入が必須となるので、実際にユーザーが最初に支払う金額は2万円を切るくらいになる模様。法人契約の場合はスーパーボーナス契約で買うか、通常の端末価格で購入するか選べるようだ。HTCからSIMロックフリー版のX01HTが登場する可能性については、HTCが否定した。
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