「ウチだけだったので驚いた」――開発陣に聞く「N903i」のVGA+ディスプレイ:「N903i」開発者インタビュー(前編)(2/2 ページ)
903iシリーズで唯一、VGAクラスのディスプレイを搭載するNEC製のFOMA端末「N903i」。同社開発陣に、VGA+(480×690ピクセル)という高解像度ディスプレイを採用した狙いを聞いた。
「アレ、うちだけ?」
岡本氏は他の903iシリーズがQVGA仕様であることにちょっと驚きを感じたと話す。「正直、アレ、うちだけ? と思いました。“できる・できない”というのであればQVGAでも良いのでしょうが、“使える・使えない”というレベルではVGA以上は必要なはずですから。ちょっと意外でした」(岡本氏)
N903iが今回搭載するモバイルシャインビューEX液晶は、サイズが2.5インチで、26万2144色表示に対応する。さらに、輝度は約400カンデラで、コントラストは約800:1、色彩表現範囲を示す色度域は72%と液晶テレビに匹敵する性能だ。また、パネルの解像度は332dpiで、これは肉眼でドットを認識できる限界に近い数字だという。
「我々人間が目を通して見ている映像は、だいたい300dpiと言われています。N903iはこれを超える画面解像度ですから、これ以上スペックを上げても目が追いつかない。そういう画質です」
テレビのブランド名を冠した液晶パネルを搭載する他社端末もあるが、性能ではモバイルシャインビューEX液晶も決して負けていないという。
VGA+とQVGAの棲み分け
VGA+ディスプレイを搭載するN903iだが、すべての画面を480×690ピクセル対応で行うわけではない。どれの機能がVGA+に対応するのだろうか。
「480×690ピクセルの解像度を利用できるのは、待受画像、ドキュメントビューワーやナビゲーションサービスなど一部のiアプリ、iモーション、フルブラウザ、カメラです。それ以外のiモードやメール作成画面、設定画面などはQVGAのままです。ただ、QVGAで扱うものをそのまま表示すると小さくなってしまうので、ディスプレイに合わせて拡大しています。これは機能ごとに自動で行っているので、ユーザーが設定することはできません」(岡本氏)
例えば、待受画像やカメラで、QVGAのデータを表示すると画面いっぱいに拡大表示するため、小さいピクセル数の画像であっても違和感なく使うことができる。とはいえ、すべてをVGA+対応にしないのは、なぜだろうか。
「理由は2つあります。これまでの端末やドコモのサービスがQVGAでしたから、過去の製品やサービスと整合性を持たせるため、そして処理速度や消費電力といった開発の都合です。たとえば、iモードメニューをそのまま表示しても小さくて見えにくい。また、メニュー画面や設定画面、メールなど文字情報が主な部分も、VGA+対応にソフトを書き換えるのはコストが非常にかかります。それぞれの解像度を生かせるように、使える機能と使えない機能を分けています」(岡本氏)
端末の持つ最も基本的なコミュニケーションツールであるディスプレイに、これまでにない表現力を持たせたN903i。開発陣インタビュー後編では、端末全体のデザインや動画も手ブレ補正対応となったカメラ機能、日本語入力などについて聞いていく。
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