パケット代不要の楽曲ダウンロードも──W44Sで受信できるデジタルラジオ(2/2 ページ)
KDDIが発表したソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製端末「W44S」は、国内で初めてデジタルラジオの受信に対応した携帯電話だ。デジタルラジオが受信できることで、従来よりさらに“音楽に触れる機会”が増える。
デジタルラジオの3セグメント放送では、映像や音声、データ放送の視聴を妨げることなく、バックグラウンドでIPベースのファイル送信が可能だ。W44Sで利用できるデジタルラジオのサービスには、この技術を活用して、例えば番組で流している曲をその場で購入する機能を用意している。
この機能を利用すると、すでに端末にダウンロードされているデータの“ライセンス”を取得するだけで暗号が解除でき、再生できるようになる。楽曲データをパケット通信網経由でダウンロードをする必要がないため手軽な上、放送波を利用するのでアクセスが集中してサーバに負荷がかかるようなこともなく、わずかなパケット通信料で楽曲データが手に入れられるというメリットがある。
「放送波を利用したファイルダウンロードサービスは、国内では初めての試み。番組を聴いている間に、知らないうちに楽曲データがダウンロードされるので、権利を後から買うだけですぐに音楽が聴ける」(高橋氏)
なおダウンロードサービスはレーベルゲートが提供する。配信されるデータは着うたフルと新サービスの「LISMO VIDEO CLIP」の2種類で、EZweb経由で販売されているものと仕様はまったく同じ。利用料金は着うたフルが1曲210〜420円、LISMO VIDEO CLIPのデータが1曲315〜630円になる。月額会費などは不要だ。
デジタルラジオのダウンロードサービスに参加するレコード会社
エイベックスネットワーク、ソニー・ミュージックネットワーク、東芝EMI、徳間ジャパンコミュニケーションズ、ドリーミュージック、BMG JAPAN、ビクターエンタテインメント、フォーライフ ミュージックエンタテイメント、ユニバーサル ミュージック、ワーナーミュージック ジャパン (※そのほかのレコード会社も準備中)
3つのチャンネルで展開するTOKYO FMのデジタルラジオ
3セグメントのデジタルラジオサービス自体はエフエム東京が提供するもので、番組内容などはすべてエフエム東京側で編成したものとなる。TOKYO FMのデジタルラジオは3チャンネル用意される。
- 701Ch アグレッシブライフスタイルチャンネル
- 702Ch ハイクオリティチャンネル
- 703Ch ニュースチャンネル
3つのチャンネルはそれぞれに特徴を持たせており、アグレッシブライフスタイルチャンネルは、人気DJなどがヒットチャートをもとに音楽を紹介する番組が中心になる。オンエアされた楽曲で気に入ったものがあれば、その場で購入する仕組みも用意されている。ショッピングサイトなどにも簡単にアクセスできるようにするという。
ハイクオリティチャンネルは、有名DJや各界を代表する人がDJを務める、幅広い音楽ニーズに応えるチャンネル。アグレッシブライフスタイルチャンネルよりも少し大人の視聴者をターゲットにする。さまざまなジャンルの音楽を取り上げるほか、データ放送で写真や絵画なども音楽と一緒に楽しめる。
ニュースチャンネルは、その名の通りニュースの専門チャンネルで、最新トピックから芸能情報まで、その日に起きた出来事を映像とともに紹介する。
発表会の司会を務め、デジタルラジオの新番組紹介も担当した赤坂泰彦氏は、自身がパーソナリティを務める番組を持っているだけに、「ラジオの歴史が新しく生まれ変わっていくと思う。ラジオショッピングの形態も変わっていくだろう。トーク番組ではゲストの表情も伝わるし、食べ物の雰囲気や味などもきっと伝えやすくなる。また番組中に時間がなくて紹介できなかったメールをデータ放送で流したりといった使い方もできる」と期待を示した。一方で「夢がふくらむが、しゃべり手としては責任が重くなる。スタジオにだらしない格好で行けなくなってしまう」とも冗談交じりに話した。同氏もデジタル放送でMusic Watchという番組を担当するという。
具体的な番組名は明らかにされなかったが、DJやパーソナリティとしては菊池浬、KTa★Brasil、ケンタロウ、フローラン・ダバディ、ピーター・バラカン、ジン、絢香などが登場するほか、12月に放送される特別番組では今井美樹も抜擢されている。
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