デザインも機能も“正常進化”――開発陣に聞く「N903i」:「N903i」開発者インタビュー(後編)(2/2 ページ)
N903iのデザインや機能は、基本的に前モデルのN902iSを踏襲しながら細部を進化させている。前モデルでは見送られたポイントを改善することで「手に持って違いの分かる」端末に仕上げたという。
ディスプレイに相応しいカメラ機能を
N903iは有効320万画素のCMOSセンサーを採用しており、動画撮影時も手ブレ補正が有効の「ウルトラデジタル手ブレ補正カメラ」機能を備えている。N902iSの記録画素数約400万画素のスーパーCCDハニカムからどのように変化したのだろうか。
「N902iSは記録画素こそ4メガクラスですが、センサーの有効画素数は200万画素でした。N903iは有効320万画素ですからアドバンテージがあります。また、CMOSセンサーについてネガティブな印象の方もいると思いますが、現在のCMOSとCCDでは、目に見える違いはないと考えています」(岡本氏)
「動画撮影時の4軸手ブレ補正はN902iSで見送っていた機能なので、N903iで実現したものです(N902iSは2軸補正)。N902iSの時に“スーパー”と名付けたのですが、それを超えてしまったので、じゃあ“ウルトラ”でと(笑) ユーザーの声を聞いても動画撮影をする方が多かったので、是非載せたいと思っていました」(島村氏)
カメラ機能の進化には、ディスプレイがVGA+になったことが強く影響しているという。表現力が向上したディスプレイを、もっとも実感できるのはカメラを使った時という考えだからだ。「出力側であるディスプレイの表現力が上がったのに、入力側のカメラがそのままというのはありえないですから。当然、デフォルトの撮影サイズはVGA+(480×690ピクセル)にしてあります」(岡本氏)
たとえ機能的に可能であっても、端末のメモリ容量やメールで送受信することを考慮して、カメラ機能のデフォルト撮影サイズは小さくなっている。N903iのデフォルト撮影サイズが大きくなったのは、岡本氏が出張先で見たある光景が影響しているという。
「今年の夏に出張で仙台に行ったんですが、ちょうど七夕祭りの季節でした。偶然知り合った老夫婦が街の笹飾りを携帯で撮っていたんですが、その機種のデフォルト撮影サイズであるCIFサイズ(352×288ピクセル)で撮影していたんですよ。設定を変えればもっと大きいサイズで撮れますが、誰もがすぐに撮影サイズを設定して撮れるわけではない。N903iではデフォルトの撮影サイズを480×690ピクセルにして、何も設定しなくても高精細なディスプレイで写真が楽しめるようにしました」(岡本氏)
ユーザーの声で搭載した「デコメ」作成機能
ユーザーの多くが“N”端末で気になるのは、日本語入力周りだろう。N903iが搭載する日本語予測変換・表示システムは同社が開発した「Mogic Engine」で、細かいチューニングを行った以外はN902iSと同じ仕様だ。
「N902iSでMogic Engineを搭載しましたが、日本語入力については他の端末に匹敵するだけでなく、精度や使いやすさは上回ると自信をもっています。また、Mogic Engineは表示部分も受け持つので、機能やモードを問わず表示サイズを制御できる利点もあります。N903iでは新たに、メールやiモード、フルブラウザの文字サイズをまとめて変更できるようになりました。好みの文字サイズは人ぞれぞれですから、購入直後の初期設定時に決められるようになっています」(岡本氏)
さらに、入力効率や予測変換精度だけでなく、デコメ機能の向上も行っている。「テキストだけのメールを装飾できるおまかせデコメ機能には、さらに多くのテンプレートを盛り込みました。また、プリセットされたデコメは、カーソルがフォーカスしていなくても動くようにしていますから、どんな動きなのか一目で分かります」(佐藤氏)
N903iには約240種類のデコメ素材がプリインストールされているほか、iモードサイトからダウンロードすることも可能だ。数限りないデコメを使えることになるが、N903iには自分だけのデコメを作成できるiアプリ「デコメを作ろう」がインストールされており、ドット絵を描く要領でデコメを描くことができる。このツールは、ユーザーヒアリングの中である女子大生が提案したアイディアだったいう。
「プリセットされたデコメがかわいくないので自分だけのデコメが欲しい、作りたいという声がありました。面白そうですが、ツールがあっても端末だけでデコメを作れるものかどうか。とりあえず、テスト的に早速アプリを作り、試してもらうことにしました。すると、皆さん熱中してデコメを作りはじめたんです。これは行ける! と製品版でも採用することになりました。基本的なペイントソフトの機能を備えたほか、ゼロから描かなくてもプリセットされたデコメを開いて、色を変えるとか、ヒゲを書き足すとかで楽しめます。このツールですが、高解像度のディスプレイじゃないとちょっと使いにくい。高解像度のVGA+ディスプレイはここでも生きてくるんです」(佐藤氏)
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