「ユーザーが納得できるビジネスモデルの検討を進める」とKDDI小野寺氏
KDDIの小野寺正会長兼社長は3月14日、社長会見で販売奨励金モデルの現状などについて言及。今後の取り組みとして、ユーザーに納得してもらえるビジネスモデルを検討していくとした。
KDDIの小野寺正会長兼社長は3月14日、社長会見の席上で、総務省の「モバイルビジネス研究会」でも議題に上っている、販売奨励金モデルでの端末販売の現状を改めて説明した(1月31日の記事参照)。
小野寺氏は販売奨励金モデルのメリットとして、安価に端末を提供することで需要を拡大できたこと、端末の買い換えニーズを喚起し、高機能サービスの急激な普及が可能だったことなどを挙げて説明。また短期間に解約するユーザーが安価に端末を入手できる一方で、長期間同じ端末を使い続けているユーザーは端末代金が上乗せされた通信料金を払い続けているという不公平さがあるという指摘に対しては、通信料金に応じたポイント還元や、機種変更時に利用期間に応じて変わる販売奨励金を設定するなど、「現状でも一定の公平性は担保している」(小野寺氏)との見方を示した。
また、1月31日の社長会見で言及した「一定の契約期間を設定した料金プラン導入の是非」(1月31日の記事参照)については、「モバイルビジネス研究会の中で総務省から、通信料金について“携帯端末の利用期間を定めることが可能”との見解が示されたと理解している」と説明。「過去に(当時、管轄していた)郵政省とやりとりした際には、“携帯電話も公衆電気通信サービスの一環であり、ユーザーは利用したいときにいつでも利用でき、解約したいときにはいつでも解約していい”という方針のもと、“利用期間などを縛ることはおかしい”とされていた」と当時を振り返った。
小野寺社長は、利用期間の制限が可能になったことはKDDIにとって大きな事情変更であるとし、今後はユーザーの販売奨励金負担に応じた通信料金の設定や、通信料金と端末利用期間のパッケージ化など、よりユーザーに納得してもらえるようなビジネスモデルを検討すると明言した。
なお、新たな料金体系の導入時期や概要については「メーカー間、ショップ間、キャリア間の競争を維持しつつどうやるべきかを模索している。いろいろなことを検討しているが、今はどのモデルがいいのかを話せる段階にない」と説明。「ここが競争の源になる可能性がある」ともいい、慎重に検討を進めたい考えだ。
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