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“17ミリ台”を死守せよ──妥協なきハイエンド携帯、開発の裏側開発チームに聞く「911T」(1/5 ページ)

「絶対に17ミリ台をキープせよ」。開発当初から課せられた、限りなく高い目標設定──。“本気”の東芝製ハイエンド携帯「911T」はどのような苦労の末に誕生したのか。開発の裏側を開発チームに聞いた。

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photo スライドボディを採用したハイエンド端末「911T」。カラーはレッド、ホワイト、シルバー、ブラックの4種類

 ソフトバンクモバイルの2007年春モデルで大きな注目を集める“ハイエンド”端末、それが東芝製の「911T」だ。

 春モデルとして唯一900番台の型番が与えられたハイスペックモデルということ、その多彩な機能を厚さ17ミリというスリムなスライドボディに詰め込んだこと。そのため掛け値なしに注目に値する端末といえるだろう。

 そんな911Tはどんなコンセプトで開発され、どんな苦労があったのか。東芝の911T開発チームに話を聞いた。

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東芝「911T」開発チーム。左からモバイル国内営業第ニ部の伊藤浩二氏、商品企画部の影長宣賢氏、モバイル機器設計第二部の眞田喜啓氏

開発当初から課された、“17ミリ台キープ”という必須条件

 「911Tは若い男性層に多い、ハイエンド志向のユーザーにターゲットを絞りました。今考えられるフルスペックで、薄くて格好いい端末──が大枠のコンセプトとなります。迫力の大画面でワンセグが楽しめ、PCサイトブラウザでPC用サイトも詳細にかつ便利に閲覧できるように。これを実現するため、自然にスライドボディ+3インチ液晶が必要という流れになりました」(商品企画部 影長宣賢氏)

 「当社はどちらかといえば、(最近は)“ユーザーフレンドリー系の端末の方が得意”という印象を持つ人も多いのではないかと思います。ハイスペックで多機能な端末ももちろんいくつも投入してきましたが、機能として満足できても、デザインやサイズなどの部分でユーザーに敬遠されてしまうこともあったと理解しています。そこで今回は、機能はフルスペック、そしてサイズとデザイン、つまりカッコよさも譲らないという確固たるテーマを設定し、開発陣にも頑張ってもらいました」(モバイル国内営業第ニ部 伊藤浩二氏)

 「回転2軸型のスタイルはどうしても本体が厚くなってしまう傾向があります。一方、一般的な折りたたみスタイルなら薄さが追求できますが、大画面をいかした機能、例えばワンセグ視聴時などに無理が生じます。やはり、開発当初から設定していた仕様を考慮すると、スライドスタイルの採用が必然だったと思います」(伊藤氏)

 ハイエンド端末ならではの「デザイン」にもこだわったという911T。厚さ17ミリ台となるスリムボディはどんな経緯で実現できたのだろう。

 「開発目標として“17ミリ台キープ”を、かなり早い時期に掲げました。ほかにもスリムな端末がいろいろ出てくる中で、薄くてカッコいいと思ってもらえるのが17ミリ台ではないかという考えです。結局、厚さは17.9ミリとギリギリになりましたが、とにかく17ミリ台は死守できました」(伊藤氏)

 「実は、もし実現できなかった場合には“側面にストライプ”を入れるなどの策を施し、スリムに見えるための視覚効果の演出も配慮しなければならないなどとも思ってましたが、結局取り越し苦労でした。結果的にはシンプルなカラーリングで、光沢処理とマット処理を使い分けるというデザインのコンセプトをキープできたことも大きいですね」(影長氏)

photophoto 911Tはブラック、レッド、シルバー、ホワイト、計4種類のカラーを用意する。いわゆるよくある色だが、同系色で光沢/つや消しの処理が施される。これも17ミリ台の厚さの実現したからこそ際だって見える演出だ
photophoto 厚さ17.9ミリを実現。厚さ19.9ミリのドコモ向けスライド型携帯「D902iS」とサイズを比較

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